・木材保存剤等審査会について・認定申請に必要な資料 i 8Examnation Comm(以下、保存協会)は木材保存剤(英文名称Wood Preservatives 公益社団法人日本しろあり対策協会(以下、白対協)、および公益社団法人日本木材保存協会等の認定に際し、これまで木材保存剤等審査事務局(以下、審査事務局)を通じて、公益財団法人日本住宅・木材技術センター(以下、住木センター)に審査を委託してきました。しかしながら、近年の薬剤申請数の減少等を理由に、より効率的かつ継続的な認定審査体制を構築する必要が生じました。この為、2020年6月末で審査事務局を解散し、2020年7月より新たに木材保存剤等審査会審査会)を立上げ、両協会の認定申請、更新や、住木センターで実施していた審査業務を行うことになりました。新体制に移行されますが、現時点において、申請手続きや、申請に必要な諸データについては従来と大きく変りません。折角の機会ですので、ここで改めて認定申請に関連する審査会およびシロアリ防除薬剤の安全性に関連する内容についてご紹介します。少し長いですので、前編、後編と分けてご紹介します。シロアリ防除薬剤の認定・申請に関する理解の一助になれittee:以下、ば幸いです。審査会は、白対協および保存協会が木材保存剤等の認定登録を行うに当たり、両協会の委嘱を受けて、保存性能および安全性に関する審査を行います。その業務としては、(1)木材保存剤等の保存性能、安全性等に関する新規申請および変更申請に対する審査ならびに結果の報告、(2)木材保存剤等の新規、変更、更新の各申請に係わる相談業務、申請の受付および更新の手続業務、(3)その他、本会の目的を達成するために必要な事項を行うとしています。これらに関連する木材保存剤等の定義、審査の手続きおよび方法については、「木材保存剤等審査規程」に定められ、審査会は審査機関として、これまで通りに、第三者機関として、審査の中立・公平性、透明性および信頼性を確保し、運営する形になっています。審査会で定められた木材保存剤等審査規定において、認定申請には次の資料を添付することになっています(薬剤に関連する項目を抜粋したため、番号が審査規定とは異なります)。 (1)成分表等(2)製品や成分の規制法規上の位置付け、登録等、(3)安全性に関する説明書、(4)使用方法に関する説明書、(5)性能試験成績書、(6)環境汚染防止法等の規制に関する説明書、(7)廃棄物の処理方法に関する説明書今回は、これらの中から特に安全性に関連する説明書に関してご説明します。認定審査資料として、製品および有効成分の安全性に関して、下記資料(表1)が求められます。人畜毒性に関するデータとして、製剤においては、急性経口毒性、急性経皮毒性、眼一次刺激性、皮膚一次刺激性、皮膚感作性の5項目が必要です。また、有効成分では、先の5項目に加え、28日間反復経口毒性、急性神経毒性、急性吸入毒性、変異原性の計9項目が必要です。使用上の安全性に関する説明として、床下散布または土壌処理時の床下および床上空間における有効成分の気中濃度推移測定データが求められます。環境へ与える影響として、水産動物への影響を確認する為に、製剤ではコイに対する急性毒性、ミジンコに対する急性毒性、有効成分ではさらに生物濃縮性が求められます。さらに、環境中での分解性、残留性に関するデータとして、有効成分では土壌吸着性またはPracticeの略称で優良試験所基土壌溶脱性加水分解速度、水中光分解性が必要になります。また、有効成分では化学名、化学式、構造式、分子量、原体組成、水溶解度、オクタノール/水分配係数、蒸気圧、解離定数、UV/VIS吸収スペクトルに関する資料を提出します。審査事務局における2017年度以降の申請においては、既認定の有効成分を除く新規有効成分(原体)、および製品に関する安全性試験については、原則GLP試験で実施するとされています。このGLPとはGood Laboratory 準ともいい、安全性試験そのものの方法ではなく、責任体制の明確化や、試験方法の標準化、信頼性保証部門の設置、適切な施設設備・機器の使用と管理等について定め、安全性試験等の信頼性を確保する為の基準を示しています。試験所運営者や、試験実施者と別に信頼性保証部門を置くことで、試験結果の信頼性を第三者的に保証します。この点において、両協会と、審査会の立場に類似しているといえます。また、試験施設ごとに、GLPへの適合性を査察当局により定期的に査察等を行い、GLPに基づいて実施された試験結果・GLPとガイドライン12住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社 馬場 庸介agreeable No.56 October 2020/10シロアリ防除薬剤について第7回シロアリ防除薬剤の安全性について(前編)
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