私はこの業界に入り20年余りになりますが、しろありの生態はとても面白く興味深いところが沢山あります。ご存知のようにしろありはアリやハチなどと同じように分業的な階級があり社会性を持つ昆虫ですが、分類としてはゴキブリの仲間に属する生き物です。シロアリは単体では非常に弱い生き物です。コロニー(巣)の規模にもよりますが、数百から数万匹数百万匹おり木造住宅はもとより、コンクリート住宅にも侵入していきます。ある程度の数がいることで強くなるのです。一つの場所に大多数で生活する虫はそれぞれが出すフェロモンを使い仲間に餌の場所や危険を知らせたりと行動範囲を広げていきます。我々も展示会などで生きたシロアリを展示する際によくすることですが、ボールペンで線を引くとシロアリが線に沿って歩き始めます。ボールペンの匂いがフェロモンの香りに近いと言われているそうです。来場してくださった方々は一様に驚いた表情で興味深く観察されていきます。この行動は動画サイトなどでも見ることができます。面白いですよ。また、キノコを作る種類のシロアリもいます。そのキノコは人が食べることができますが、一般には中々お目にかかることはまずありません。私は10年ほど前に1度だけ頂きましたが、キノコの独特な香りが少なかった様な記憶があります。焼きと天ぷらにチャンプルーと頂きましたが味は淡白で色々な料理に合う様です。シロアリはセルロースという物質が入ったものを好んで食べます。それは木材や服、紙など私たちが生活する上で必要な物の殆どに入っています。材質が柔らかい物ほど早く食べることができますので住宅では服や畳が先に食害されてしまうのです。さて、珍しい食害をした現場を紹介します。ここは比較的新しい施設の倉庫で建物の配管が集中する場所です。(写真#1)こういった場所は一般の住宅も同じ様に上下水道や電気配管などが集中しており、水気と電気による熱で年間を通してイエシロアリやその他の害虫と呼ばれる生き物が活動しやすい場所になります。この倉庫では立て掛けているふすまを食害し琉球しろあり 太司 和也14agreeable No.56 October 2020/10写真#1第8回ないようである事例シロアリの生態として
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