8agreeable No.64 October 2022/10図3 木材防腐剤CCA構成成分のLLNA試験成績び銅では、3%濃度でSI値がそれぞれ3.0および2.5であり、いずれも感作陽性ではなかったものの、ヒ素では1%濃度でSI値が3.5、3%濃度でSI値が8.6でありました。ヒ素のEC3値は0.95%であり、GHS分類感作性1Aの強い感作性物質に分類され、CCAの感作性は酸化ヒ素の強度皮膚感作性に起因するものと考えられました。次に現在木材防腐剤で使用されているACQとAACについてもLLNA試験を実施しました(図4)。ACQ(Alkaline Copper 図4 木材防腐剤ACQおよびAACのLLNA試験成績る世界調和システム)分類上は感作性1Aの強い感作性物質に分類されました。呼吸器感作性物質のTMAでは、EC3値は0.09%であり、強度の感作性を示していました。そこで、CCAが強い感作性物質であった事からその構成成分の酸化ヒ素、酸化クロム、酸化銅の感作性についてもLLNA試験を実施したので、図3に示します。クロムおよQuaternary)は銅・アルキルアンモニウム化合物系木材防腐剤、AAC(Alkyl Ammonium Compound)はアルキル図5 皮膚感作性(陽性)注意事項アンモニウム化合物系の木材防腐剤であり、ともに前述のCCAの代替品として広く使用されています。図で示すようにACQ 0.3%から3%の3濃度でLLNA試験を実施した結果、0.3%、1%および3%濃度でSI値がそれぞれ6.3、27.4および49.7となり、EC3値は0.25%と計算されました。一方、AACでは0.1%から1%の3濃度で実施した結果、0.1%、0.3%および1%濃度でSI値がそれぞれ3.3、11.7および16.9となり、EC3値は0.01%と計算されました。ACQおよびAACともEC3値が2%以下である事よりGHS分類上は感作性1Aの強い感作性物質に分類されました。 以上のように、木材防腐剤のCCA、ACQおよびAACの感作性試験成績からいずれも強度の皮膚感作性を示すデータが得られている事から、その取扱いに十分注意する必要があると思われました。図5に皮膚感作性に対応する使用上の注意事項として、実務的な[安全上の注意]および[応急処置]を示しましたので、対応時の参考としていただければと思います。[毒性情報]・ アレルギー性反応あるいはアレルギー性皮膚反応を起こすおそれがある。[安全上の注意]・ 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。・ かぶれやすい体質の人は作業に従事しないようにし、施用した作物等との接触をさけること。・ 汚染された衣服は脱ぐこと。・ 作業後は身体を洗い流し、うがいをするとともに衣服を交換すること。・ 作業時に着用していた衣服等は他のものとは分けて洗濯すること。[応急処置]・ 皮膚に付着した場合、よく洗い落とすこと。皮膚刺激または発疹が生じた場合、医師の手当を受けること。※英語名表記が多いため、横書にしております。
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