読者からの投稿私がシロアリ業界に足を踏み入れたのは自宅がイエシロアリの被害を受けたことが始まりです。2000年私40歳のときです。ある夏の日、子供と花火をしていると訳も分からないものが大量に降ってきて、家に逃げ込んだことがシロアリとの出会いです。自宅前は道路、竹藪、川となっております。その他三方は田で4mの擁壁に囲まれています。庭木としてウバメガシを移植したのですが、ほとんど根が無く庭師さんも心配そうにしていたことは覚えています。これが、イエシロアリの巣を大事に引っ越しさせたということになってしまいました。私の本職は畳業を営んでおり、白蟻業者さんも何軒か知ってはいましたが、この時、自分で何とかしようと考えました。今思えば無謀にも程があったなと思っていますが。この自宅兼職場は、田辺市の薬局屋さんの指導のもと処理し、この経験を切っ掛けに防除士も取得させていただきました。この2000年から2003年の3年間にはシロアリの恩師とも出会う事ができ、本当に色々な方にお世話になりました。ここで学んだことを活かしながら、現在に至っています。今回ご報告させていただきます有翅虫ペア飼育に関しては2003年取引先のメーカーの方がイエシロアリの飼育をしていることをお聞きし、刺激を受けイエシロアリの生態などは無知な私でしたが、アドバイスをいただきながら有翅虫ペアの飼育に挑戦をはじめた次第です。挑戦をはじめたものの有翅虫ペアから巣を育てることは想像以上に難しく、1年は何とか飼育できるのですが、2年目以上育てることが出来ませんでした。それから何度挑戦しても結果は同じでし ばらく頓挫していました。この飼育に再度挑戦する気になったのは、イエシロアリの様々な巣やシロアリを観察する経験を積んだことが要因でした。当社のイエシロアリ駆除は巣の探索をすることが前提です。これは師匠の教えです。その結果、初期である巣や成熟した巣を現場で出すことができ、それをシロアリの気持ちになったつもりで観察を続けました。この経験を基に少し考え方を改め、2017年の有翅虫ペア育成に活かすことで、上手く育ち今に至っております。この巣はお風呂の壁巣をイメージして育ててみました。2017年にペアリングに成功した後、ガラス容器を巣ができた際の大きさに相当する空間として利用することを想定し準備し、餌木を設置、乾燥しないよう、蓋をしました。翌2018年、ガラス容器内に水取り場を設置しました。さらに巣が成長した2019年、シロアリ自らが巣の湿度調整をできるよう、外部に水取場を設置しました。その成長の様子を、写真を用い、報告をさせていただきます。オヤシロアリ技研 尾屋 勝夫18agreeable No.64 October 2022/10自宅風景イエシロアリ有翅虫ペア飼育記
元のページ ../index.html#20