3agreeable No.64 October 2022/10測ればいいとして、横方向はどうするか。測定のしやすさなんかも考えて、地面すれすれのところで水平方向に測ることにした。この3つの値の平均を外壁の厚さとする。せっかくなので、きれいな断面を作りたいなと思い、ノコギリで切ってみたのだけれど、ほんと、レンガを切るようなものなので、人間の力では無理でした(写真2)。ここは黙って、慎重に鍬を振ることにした。いていの場合、図1に書いたようなきれいな形にはなっていないことに気がつく(写真3)。こういう時はついつい測定する箇所をどうしようとか、他の方法に変えようかとか悩みがちになるが、とにかくエイヤッといざ巣の断面を切ってみると、たやってしまおう。生き物を調べると、いろいろとばらつくことが多いのだけれど、そんなばらつきのせいで目的としていることがはっきりしなくなったとしたら、それはそういうものなのだ。本当に何か決まった特徴があれば、ばらつきがあったとしても、必ず見えてくるものである。もそれなりに違いがあってよさそうなので、大きい巣から小さい巣までまんべんなく計20個を選んで調べ、測定結果をグラフにまとめてみた(図2)。個別に見るとばらつきがあるのだけれど、20個分を並べると、確かに決まった特徴が見えてきた。まず、巣の外観はどんなものであったかというと、小さい巣から大きな巣までほぼ同じ、ちょっと潰れた円錐型だったのである(図2:●)。さらに、巣の外壁の厚さは小さい巣でも大きい巣でも巣の高さの半分くらいになっていることもわかってきた(図2:○)。 らガンダムを再現することはできなックの厚さなど含めてすべてそのままの比率で巨大化しても、残念ながい。そう、部材の重さと強度の問題があるからだ。レンガ粘土というたいそう重い部材で作られたシロアリの巣の場合も、同じ比率で大きさを変えることはそうたやすいことではないだろう、と考えていた。なので、巣の大きさが違えば構造にガンダムのプラモデルをプラスチ実際に測定してみて、小さい巣から大きな巣まで同じ構造をしていることがわかった時には本当に驚いた。ただし、このシロアリの巣は高さ1mくらいが最大クラスで、それ以上大きいものはほとんど見かけない。別の種類のオオキノコシロアリやアフリカの種なんかだと巣の形や外壁の厚さなど構造はだいぶ違うけれどもっともっと大きな巣を作るので、この構造の場合だと1mくらいが限界だということなのかもしれない。シロアリの気持ちになって巣を作る作業のことを考えると、小さくても大きくても同じ形にしておけばなんとなく同じやり方で作れそうなので都合がよさそうに思えるが、どうだろうか。次回はこの巣の構造について、さらに深掘りしてみたいと思う。(後編に続く)写真3 オオキノコシロアリの巣の断面左から、小さい巣(高さ31cm)、中くらいの巣(高さ58cm)、大きい巣(高さ97cm)。図1 巣の断面の測定巣の高さ、半径、外壁の厚さの測定位置を示している。写真2 ノコギリで巣の断面を切ろうとしたところ図2 オオキノコシロアリの巣の断面の形左:巣の高さと巣の半径(●)もしくは巣の外壁の厚さ(○)との見事な比例関係を示している。右:巣の大きさと巣の形の関係、巣が小さくても大きくても断面は同じ。
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