agreeable 第65号(令和5年1月号)
14/23

弊社のある山口県は日本海と瀬戸内海に挟まれた気候の豊かな場所です。県内全域にヤマトシロアリが生息し、南側の海岸線を中心にイエシロアリが生息しています。しかしながら近年の温暖化でイエシロアリの生息か所も以前のイメージと変わってこんなところにまで…と北上してきている気がします。まぁ、つまり場所に関係なく今の時代どんな白蟻がどこにいようともあまりびっくりしなくなってきました。山口県のもう一つの特徴としては西部から中部にかけて生息が確認されているカンモンシロアリ。これについては後述することとします。先日、某市の教育課から連絡が入り、中学校の二階のトイレに白蟻がいるので処置をしてほしいと依頼がありました。弊社と古くからの付き合いの工務店さんと一緒に現場入りしたところ、トイレ入口の木枠が損傷しており、剥がしていくとイエシロアリさん達がわらわらと。(写真①)鉄筋コンクリート造の校舎なのですが、コンクリートの隙間にもたくさん出入りしてました。床のタイルと木枠の根本あたりには蟻土がしっかり詰まってます。(写真②③)真下にある一階のトイレには被害はなく、天井も無事です。完全に二階のトイレ単独の被害です。学校のトイレは毎日生徒さんが一生懸命掃除をされてます。私も昔を思い出すのですが、毎日洗剤を使ってデッキブラシで床を丹念に磨いて最後に水を流します。今回の被害はその水がタイルと木枠との間にできた隙間に流れ込み、一種の雨漏りのような状態ができた為に、飛来してきたイエシロアリによって被害に繋がってしまったものだと推察できます。この木枠が全てかと思っていましたが話はそれだけではありませんでした。いつからかこのトイレ、排水溝から水が流れなくなってしまったという事で排水溝の蓋を外して見てみると中にイエシロアリたちがこれまたうようよと…。(写真④⑤)水が流れないのは排水溝の中が蟻土でいっぱいになり詰まってしまっていたからでした。確かに絶好の水分調達ができる場所ですが、ここまでするか白蟻さん達よ、逆によく流されずにここで暮らせたな、と思わず突っ込みをいれたくなるほど。そしてさらには男子トイレの小便器をひとつ壁から撤去したら、その間にも白蟻が…。追いかけてみると壁の隙間にも蟻道が。木なんてほとんどない構造のトイレに唯一ある木枠をエサに生活していたのです。たくさんの生徒さんや先生が日ごろから使用される校舎内ですので、安全性を考慮しフィプロニルのMC剤でじわじわと駆除していく方法をとりました。大工さんが木枠を撤去した際にコンクリートの隙間を出入りしている白蟻に直接処置し、新西日本防虫防除工事 中村 順一12agreeable No.65 January 2023/1写真③コンクリートの隙間からうようよと写真⑤拡大写真②木枠撤去後写真④排水溝の蓋を外すと中に…写真①木枠の被害第17回                 ないようである事例ひとの想像のうえをいく、それがシロアリ

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る