agreeable 第65号(令和5年1月号)
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行動です。カンモンシロアリの群飛は主に2〜3月頃。ヤマトシロアリは主に4〜5月頃。(地域や気候によって違いはあると思いますが。)この群飛時期のズレが大きな答えでした。種の存続のためにはまず羽蟻たちは出会わなければいけません。群飛時期が違うということは、このカンモンシロアリとヤマトシロアリはお互い全く出会う気がない、つまり全く別の生き物として生息しているという事の確かな答えです。業者としては、この両者を一緒にして考えていては痛い目を見るという事です。カンモンシロアリはあくまでカンモンシロアリの生態があるので、しっかり把握して工事に臨まなくてはならないという事ですね。これに気付かせていただいた時にすっきりしました。弊社の近くでも3月頃よくお問い合わせがあります。しっかり準備して対応していきます。諦めないで追い続けていたらいつか答えにたどり着かせていただける、この仕事を通じて日々の人生観も変わってきました。今はこの仕事に本当に求められているものは何か、これをずっと考えています。目に見えない安心という価値を売っているので、物品販売の世界とはお金の捉え方は大きく違います。目に見えない価値をお客様に納得していただくのはなかなか大変な事。この答えが出るのはいつの日になるやらわかりませんが、真っすぐやり続けていれば急に閃いたりするかもしれませんね。たに木枠が取り付けられる面に塗布。後日修繕された木枠の周りにはカラカラに干上がって小さくなったイエシロアリの死骸がたくさん溜まっていました。配管内の白蟻たちにもしっかりと伝播して沈静化していました。ちなみに業者さんがこの配管を一階の天井裏から一部カットしてみたところ、二階のトイレと一階の天井裏の間で蟻土がパンパンに詰まっていたとのこと。市の担当者もどうやってこの蟻土を撤去したら良いか頭を抱えられたそうです。とりあえず駆除はこれにて無事に完了です。技術と研究の進歩で今は難しい条件でも安全に施工ができる事に感謝しております。さて話は変わりますが先述したカンモンシロアリがいることも県内の特徴です。肉眼での見た目はヤマトシロアリとほとんど違いがわからないほど。特徴としては群飛時期が早いことと被害範囲が高所にまで及ぶことかと思います。比較的水分がなくても活動できてしまうという厄介な白蟻。軒や天井裏の被害なんて結構当たり前。要注意。しかしながらほんとヤマトシロアリとそっくりで、昔はたいして区別もせずに気付かず処置をしていたと先輩職人さんにお聞きしたことがあります。一緒に考えてよいものなのか、まったく別の生き物として考えなければならないのか…。かつての私は未熟がゆえに自分で答えを出せずにいました。全然ちがうと聞かされてはいたのですが、自分の中で納得できる答えが欲しかったのです。そして日々仕事を続け先輩方との勉強の中でようやく確信に至る答えが見つかりました。種の存続のためにはオスとメスの交配が必要です。巣を飛び出した羽蟻たちの目的は新たな巣作り、種を絶やさないため生き物として不可欠な(写真⑥⑦⑧)13agreeable No.65 January 2023/1写真⑥床とタイルの間にも蟻道が写真⑧処理後数日経過。伝播し死骸が見つかる写真⑦タイルの隙間にも蟻道                                

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