agreeable 第65号(令和5年1月号)
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東京農業大学名誉教授檜垣宮都先生が令和4年7月23日82歳で逝去されました。檜垣宮都先生は私が在住の愛媛県出身で、同じ年齢であることと檜垣先生を私が協会に招請したこともあり、この追悼文で在りし日の先生を偲びたいと思います。琉球大学教授の屋我嗣良先生が平成13年と14年に会長で、長崎大学名誉教授で毒性学の有吉敏彦先生には副会長を務めて頂きました。そもそも、有吉敏彦先生を理事にお迎えしたのは、愛媛大学の立川涼教授が日本とアメリカが北半球で使用していた塩素系殺虫剤のクロルデンの環境汚染を調査された結果、南半球の南極海域まで地球規模の環境汚染が広がっていることを問題視されました。協会はクロルデンを主たる防蟻剤の主成分としていましたので、毒性学の専門家が必要となり、屋我嗣良会長の推薦で長崎大学薬学部の有吉敏彦名誉教授をお迎えしました。ところが、理事会の席で、ある理事の暴言に立腹された有吉敏彦先生は理事を辞任すると発言されました。早速、屋我嗣良会長と私は説得を試みましたが有吉敏彦先生の辞意の意志は固く、惜しくも退任されました。そこで、後任の毒性学の専門学者を日本毒性学会に依頼しましたが、毒性学の重鎮であった有吉敏彦先生への対応が悪かったとして、日本毒性学会は対応して頂けず毒性学の専門家を招請できませんでした。そこで、理事会で検討し、毒性学の専門家ではないが毒性学に精通されている学識経験者にお願いすることとし、過去に縁があった東京農業大学地域環境学部の檜垣宮都教授に依頼することとしました。早速、檜垣宮都教授に就任をお願いしましたところ、所属する東京農業大学と他の協会理事の所属する大学とは過去の軋轢があり引き受けられないとのご返事でした。そこで、吉村卓美会長と前第一副会長であった私が直接お目にかかり協会理事就任を「三顧の礼」を尽くしお願いをして、平成9年2月26日の通常総会で理事に就任され、平成14年まで総務委員会委員、薬剤等認定委員としてご尽力頂きました。そして、平成15年2月27日通常総会で会長に就任され、平成22年まで4期8年間にわたり、会長として長らく協会の発展にご尽力下さいました。退任後も全国大会には毎年ご夫婦でご出席頂き会員と親交を結ばれました。ありがとうございました。日本しろあり対策協会はNational Pest Control Association(NPCA:全米害虫防除協会=現在はNational Pest Management Associationの頭文字でNPMAと改称し、5、000の会員を擁する組織)と連携は取っていませんでしたが、NPCAの年次大会が昭和62年(1987年)にハワイで行われるとの情報を得ましたので、薬剤メーカーのダウエランコ主催の「レントレク普及会米国研修旅行」には檜垣宮都先生を団長とした38名が参加してハワイを訪問しました。訪問時の記念写真を見ると檜垣宮都先生以外では、日本衛生センターの岩川徹社長とダウエランコの佐々木英明氏が思い出されます。旅行日程は10月22日に日本を出発し帰路は10月28日の7日間の旅行で2日目の23日は午前中に白蟻防除業者のエクスターム社(ドナルド・鈴木社長:ルーツは沖縄)を訪問しました。鈴木社長の解説によれば「米国の住宅はSlab on Groundと言う土壌面にコンクリートスラブを打ちそのスラブの上に構造体を構築する床下が無い住宅が多いが、日系人が多いハワイ州は日本式の床下がある住宅が殆どで、イエシロアリが生息している。米国本土ではニューオーリンズ周辺の限られた地域に限ってのみイエシロアリは生息しているので、米国の連邦住宅局の白蟻防除基準はヤマトシロアリ属を対象としている。従って、土壌処理は布基礎の立ち上がり部分に溝を掘り、薬剤処理後に溝を埋め戻すトレンチ工法である。株式会社友清白蟻 友清 重孝16agreeable No.65 January 2023/1            檜垣宮都さんを偲んで

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