agreeable 第65号(令和5年1月号)
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に同行願っているそうですが、蟻害・腐朽が確認できない場合に点検のみで終わってしまい、その後の仕事に繋がらないことを心苦しく感じておられました。入居前の予防工事へと繋がれば良いのですがという話になりましたが、中古物件では購入予算の多くはリフォームにかけられ蟻害・腐朽の予防に回ることは少ないという現状を知るに、これを打開するためには緩効性かもしれませんが啓蒙普及活動が一つのアプローチとして重要なのだと感じました。鉱物資源関連企業の方:この方は大学との共同研究で新規防蟻製品を開発されたとのことで、白対協のブースに情報収集にいらっしゃいました。色々とお話ししたところ、協会の活動にもご興味を持っていただけたようです。その他、白対協の活動やシロアリの生態について耳を傾ける民間企業の方々や、実際に被害に悩む林業組合や空き家管理の方々から認定薬剤や防除施工法等に関して、数多くのご質問やご相談を頂きました。今回のジャパンホームショーは、訪日外国人の水際対策の緩和も相まってか海外からの出展・参加者もいらっしゃいました。日本のシロアリ防除施工に興味を持たれたアメリカの方は、木部処理と土壌処理の範囲が示された模型を熱心にご覧になり、地下シロアリの生態とそれを踏まえた対策技術に感心されていました。他にもイギリスの建築士の方からもシロアリの生態や防除法について熱心に質問され、台湾の木材販売会社の方は生きたシロアリを初めて見たそうで大変驚いていらっしゃいました。以上のように、今年のジャパンホームショーにおける白対協ブースは絶え間なく賑わっていたように思います。また、他の防蟻資材関連の出展に目を向けると、大日本木材防腐のエステル化木材やニッコーの水ガラス処理などがありました。建物を長く良く使い続けるためには、様々なアプローチで蟻害や腐朽を防ぎ続けることが必要と思います。様々なブースで「シロアリ」の文字が目に入ることで、シロアリの知名度がますます上がれば良いと思います。来年は11月15日〜17日で開催される予定ですので、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。日本しろあり対策協会(以下、白対協)では、建築を担う多くの方々にシロアリ予防駆除の重要性を知ってもらうための啓蒙普及活動の一環として、2009年より連続して出展を行い、今回で14回目となりました。筆者の神原は今回初めて参加したのですが、過去に参加経験があり今回も参加された説明員の方々からは、「今回は、初めてシロアリを見る好奇心で足を止めた方ばかりでなく、技術相談を目的とした方が大変多くとても活況な会であった」とお聞きしました。連携団体の相談窓口が掲載されたパンフレットを配布する場面が多かったので、確かにそうだったという印象です。今回の説明員は、筆者らに加え、広報委員から大嶽氏・奥田氏・南山氏・宮田氏・山辺氏が、白対協事務局から永田氏・秋山氏・鶴岡氏・岡嶋氏が当番制で担当しました。白対協の出展ブースは受付側の入口から入って正面通路の一つ目の角地で立地条件が良く、初日開場の合図から早速賑わいを見せる場所でした。会場内のブースの多くが、それぞれのカラーで仕上げられており、豪華なものからキャッチーなものまで様々あり初参加の私はそのイベント感にワクワクしてしまいました。とはいえ、建材等ばかりの展示の中でおそらく唯一の生き物(=シロアリ)の展示は来場者の目を惹き、“招き猫”ならぬ“招き白蟻”で他のブースに負けず劣らずの賑わいだったと思います。今年はイエシロアリとヤマトシロアリに加え、アメリカカンザイシロアリも展示されており、初めて見る方はそのサイズ感に驚き、被害発見のきっかけとなる糞のサンプルまで持ち帰る方もいらっしゃいました。本稿では数多くの来場者の方々から頂戴したご質問やご相談のいくつかを紹介したいと思います。ビルメンテナンスの方:この方からは定期点検の必要性を問われました。お話を進める中で、その方が管理されている物件では白対協仕様書に則って5年おきの再施工を実施されているそうで、現在までにシロアリ被害がない現状からも重要性を再認識されておられました。建築士の方:この方は中古物件のインスペクションを実施する際に防除施工業者の方21agreeable No.65 January 2023/1    

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