agreeable 第65号(令和5年1月号)
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シロアリの種類と巣の形シロアリの種類と住み場所esescarbonariuannandaleiesgilvus(Macroterうものである。そうだとすれば、巣の役割は同じなはずであるのだが、なんで形がちがうのだろうか、という疑問が沸いてくる。少し話はずれるが、3種は大型の兵隊シロアリにかまれた時の感じが違っているので、それによっても種の判別ができる。スミオオキノコシロアリの場合、痛いのは痛いのだが、スパッと切れ味良くやられる感じで、血が吹き出ることも少なくない。アカオオキノコシロアリの場合は切れ味がわるいせいか、ある意味一番痛いのだが、血が出ることはまずない。キイロオオキノコシロアリは甘がみのような感じで、どちらかといえばかわいらしい。巣の形がちがうスミオオキノコシロアリとアカオオキノコシロアリであるが、これまでの経験からしてどうも住んでいる場所がちがうような気がしている。スミオオキノコシロアリの巣は森林の縁でよく見かける。その一方で、アカオオキノコシロアリの巣は森林の奥の方に多い。環境が巣の形に影響するという話もあるので、オオキノコシロアリの巣の形の違いは住み場所の違いを反映しているのではないかと考えたのである。そこで、オオキノコシロアリの種によってどのように巣のまわりの環境がちがっているのか調べてみるこオオキノコシロアリの種類を確認して場所を記録する。林道にそって計1ヘクタールの範囲でこのような調査を行った。結果はというと、全部で38個のオオキノコシロアリの巣が見つかり、林道からの距離と種類で分けると図1のようになった。うんうん、思った通り、スミオオキノコシロアリは林道の近く(林縁)にいがちで、アカオオキノコシロアリは森林の奥の方にいがちのようだ。しかし、森林の縁と奥という言葉を使えばなんとなくわかったような気とにした。調査地の森林には舗装された林道が走っているので、スミオオキノコシロアリとアカオオキノコシロアリの巣が林道からどれだけ森林に入ったところにあるか比べてみよう、と考えたわけである。林道から直角に森林に入り、そこからまっすぐ50mの線を引き、線の両側それぞれ10mまでの範囲でオオキノコシロアリの巣を探す。巣が見つかったら少しだけ壊して実際に住んでいる(写真1)。スミオオキノコシロアリmmm2        オオキノコシロアリの巣は小さくても大きくても切り口の形(巣の高さと直径と外壁の厚さの比率)が同じだった、というところで前回は終わったのだった。しかし実は、これまで見てきたオオキノコシロアリはスミオオキノコシロアリ(Macroters)という体が真っ黒い色をしたやつのことで(写真1)、調査地には他の種類のオオキノコシロアリも生息しており、スミオオキノコシロアリとはそれなりに形の違う巣を作るのである。体色が赤褐色で、私が勝手にアカオオキノコシロアリ(Macroter)と呼んでいるやつは(写真1)、スミオオキノコシロアリの巣を上からぎゅーっと潰したような、べったりとした感じの巣を作る(写真2)。他にももう1種類、やはり私が勝手にキイロオオキノコシロアリ)と呼んでいるやつは、前胸背版に天使の羽のようなものが生えているのが特徴であるとアカオオキノコシロアリの中間的な巣を作るそうだが、残念ながら私はほとんど見かけたことがない。これらのオオキノコシロアリは体色や形態に多少の違いこそあれ、生活スタイルは基本的に同じで、枯れ葉や枯れ木を集めてきては菌床(菌園)を作り、巣の中でせっせとキノコ(シロアリタケ)を栽培するとい第8回〜シロアリの巣の形はどうなっているのか(後編)〜agreeable No.65 January 2023/1写真2 オオキノコシロアリ巣の種類による違い左はスミオオキノコシロアリ、右はアカオオキノコシロアリ写真1 3種のオオキノコシロアリ左から、スミオオキノコシロアリ、アカオオキノコシロアリ、キイロオオキノコシロアリ50m間隔で合計10本の線を引き、合長崎大学山田明徳おとなのシロアリ自由研究

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