しろありNo.165
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13Termite Journal 2016.1 No.1653.2 野外試験 ハワイ大学ワイマナロ研究センターにて実施した。室内試験と同様のアリーナをプラスチック土台に乗せてイエシロアリコロニーの上に設置した。各アリーナは, 採餌シロアリがアリーナと地下の蟻道と往復できるようにアリーナの中央で丸めた段ボールを入れたプラスチック管で地上と接続した(図1)。室内試験と同量のDOTで加圧注入処理した8個の木片と無処理木片をアリーナの半分ずつに設置した。採餌シロアリがアリーナに侵入してから7日後に, 新しい木片に交換し, 処理木片と無処理木片の配置を入れ替えた。更に7日後, 新しい木片を最初の位置に戻して設置した。野外アリーナについては, トンネルの分布, 死亡虫の分布, 及び摂食量について測定した。3.3 統計分析 室内試験結果は, 経過日毎のアリーナの各観察項目の両サイドの差を分散分析(ANOVA, General Linear Model, Minitab 2003)14)により検定した。野外試験のアリーナの両サイドの平均トンネルの分布と, 室内試験と野外試験での平均摂食量は, 分散分析 (PROC GLM, SAS Institute 1999)15)を用い, 平均の比較はTukeyのHSD検定を実施した。4.結果4.1 一般的な行動 室内試験では, シロアリの行動はおおまかには以下の4パターンであった;1)元気に木材を摂食, 2)蟻道内を往復し, 蟻道構築時は積極的に砂を穿孔しアリーナ内の所定の場所に運搬, 3)確たる目的場所も無く蟻道内を単独で徘徊, 4)蟻道内の特定箇所にて大多数で休止。最初の数日間は, アリーナ内で確認される大部分のシロアリは穿孔活動を行い, 残りのシロアリはアリーナ中央の投入瓶内及びその周辺に留まった。1週間後には穿孔活動が徐々に減少し, 大部分のシロアリが休止グループか木片周辺に居た。休止グループは投入瓶の周辺に居る傾向があったが, 太い蟻道内に居ることもあった。1週間後には穿孔活動は散発的となり, 少数の職蟻グループによって局所的に行われていた。両サイドの蟻道量に有意差は認められず(図3, 4), DOT処理木片は近辺の砂へのシロアリの穿孔を妨げるものではないことを示している。図3 採餌アリーナの東サイドと西サイドにおけるシロアリ、  採餌、穿孔、死虫の分布の比較  (ANOVA, GLM, *=p<0.05.)図4 野外試験での各サイドのトンネル平均累積面積と経日面積   A:累積トンネル面積(㎠)    B:経日トンネル面積(㎠)無処理区(全て無処理木片)シロアリの分布量(㎤)木片被覆%累積トンネル表面積(㎠)累積死虫数処理区(半数が処理木片)

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