しろありNo.166
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20Termite Journal 2016.7 No.166202.4 生活史 成虫は樹幹部近くの枯枝内に作った蛹室で越冬し, 春の平均気温で13〜15℃, 最高気温で18〜20℃以上の日が数日続くようになる(図7)と枯枝に直径3〜4mmの円形の孔をあけて脱出してくる7)。交尾した後, 新しい枯枝の二次枝の付け根や粗皮下, 萌芽枝の付け根7)や樹皮が剥げ幹が露出した幹部分の割れ目産卵する10)。枝に産卵された場合, 孵化した幼虫は枯れ枝の中を食い進んだ後, 幹材部に穿入して死節の上下方向に巻くように形で(ヒノキの場合は片側だけ食害するのを観察している), その後再び枯枝に戻り, 夏から秋にかけて蛹化し成虫になる。比較的固い枯枝でも脱出孔があったり, 幹に穿入した幼虫孔道があったりする。枯枝内を食害する速度は途中に不定芽があると, その小さな節の周りを必ず食害するため, 1年間に最長75mmと非常に遅く11), 産卵は枝が完全に枯れてからだけでなく, 葉の変色が始まる頃にも産卵するのではないかと推測される。樹皮の剥げた部分に産卵された場合は材内の詳しい食害状況は分からない。しかし, 脱出孔は樹皮の剥げた幹に認められる。林齢の進んだ大木や林縁木では太い枝が幹と同じ役割をはたし, 枯れた二次枝に産卵し, 太い枝だけを食害して二次枝より脱出する12)(図8)。これまでは温暖地域では早くて2年1世代, 寒冷地では4,5年かかると言われてきたが7), 岩手県の調査では枯枝内の食害速度が最も早いものでも前述のように1年間75mmであった11)ことを考えると1世代に要する時間はもっとかかることが予想される。人工飼育下でも幼虫の成長も一定しなくて, 年と共に体重の減少が認められた。元来, 条件が同じでも生育が不揃いになる特徴を持った虫なのかもしれない。また, 前年の夏が暑いと翌春の脱出数が多いというデータもある13)。2.5 成虫の生態 成虫は昼行性で正の走光性が強く, 訪花性があり黄色がかった白色の花に集まり, 蜜や花粉を食べる7)。花の種類としてはサンショウ, ミズキ, コゴメウツギ, ガマズミ, クリ, ヤグルマソウ, マユミ, イワガラミ, ノリウツギなどがよく知られている14)。成虫は野外では気温が20℃から訪花し7), 室内試験でも20℃から飛翔することが確認され, 14℃では飛ばないが, 歩行は可能である15)。 材からの脱出成虫の性比はほぼ1である16)。しかし, 訪花してくる個体は雌が70〜80%で雄は午前中に見られ, 午後に見ることはほとんどない。また, 食樹としている林分からの飛び出しがほとんど無い。コゴメウツギのような低木の花で捕まえる個体は大半が林縁部から5m以内である7)。樹高が高いミズキだと林縁部から10〜20m離れた花でも少ないながら訪花は確認されている。林外への飛び出し距離は環境条件によって異なるが, マーク放虫試験では, 最大50mは飛び出すことが確認されている17, 18)。また, 被害林分間の調査では250m以上の飛び出しが示唆された19, 20)。 図7 スギノアカネトラカミキリ成虫の脱出時期と気温の関係図8 生枝のトビクサレ1985年5月6月
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