しろありNo.166

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31Termite Journal 2016.7 No.16631・３種の熱帯産材から調製したポリスチレンウッドの地下シロアリに対する抵抗性 （Subterranean termite resistance of polystyrene wood from three tropical wood species）Yusuf Sudo Hadi（Bogor Agricultural University, Indonesia）　人工林より得られた材は樹齢が若く辺材と未成熟材の割合が高いことから, 一般に天然林からの材と比較して地下シロアリに対して低い抵抗性しか示さない。こういった材にポリスチレンを注入することによって耐シロアリ性を向上させることができる。Sengon （Falcataria moluccana）, アカシア・マンギウム（Acacia mangium）およびメルクシマツ（Pinus merkusii）に対して, それぞれ26.0%, 8.6%および7.7%のポリスチレンを注入し, ３ヶ月間の土壌設置試験に供した。無処理Sengon, アカシア・マンギウムおよびメルクシマツの３ヶ月後の質量減少率は, それぞれ50.3%, 23.3%および66.4%となった。一方, ポリスチレンウッドの質量減少率は, それぞれ7.6%, 14.4%および5.1%となり, 耐地下シロアリ性能が大幅に向上した。・地域有用材の耐シロアリ性能試験 （Durability test of local, usable wood against termites）Suksawat Ponpinij（Kasetsart University, Thailand）　室内強制摂食試験（ASTM D3345-74に準拠）と屋外ランダム暴露試験により, 商用材１種および地域有用材12種の耐シロアリ性能を評価し, 被害度と質量減少率における樹種間の差をone-way ANOVAによって解析した。屋外ランダム暴露試験における食害度と質量減少率の両者に樹種の違いによる差が認められ, ドリアン, タケ, マンゴー, ゴムノキおよびユーカリの５樹種において他の樹種よりも有意に高い食害度と質量減少率が得られた（平均質量減少率　ドリアン：43.2± 8.3SE%, タケ：46.1±9.8SE%, マンゴー：70.9±7.1SE%, ゴムノキ：39.5±4.7SE%, ユーカリ：53.3±9.1SE%）。室内強制摂食試験においても被害度と質量減少率の両者に樹種による差が認められ, 食害度においてはマンゴーのみ, 質量減少率においてはマンゴーとゴムノキで有意に高かった（平均質量減少率　マンゴー：11.8±1.9SE%, ゴムノキ：10.2±1.4SE%）。Session ５: Termites - microbial interactionsセッション5：シロアリと微生物の相互作用・地下シロアリMacrotermes gilvusを用いたコンポスティングにおける腸内微生物の役割 （The role of gut microorganisms from the subterranean termite Macrotermes gilvus Hagen during composting process）Niken Subekti（Universitas Negeri Semarang, Indonesia）　シロアリにおける木材成分の分解には腸内に共生する微生物との共同作業が必要であり, この微生物相はコンポスティングへ利用しうる可能性がある。Macrotermes gilvusの職蟻を用い, 遠心分離することによって腸内の微生物を取りだした。これをNB培地に接種し, 30℃で４日間培養することによってスターターカルチャーを得た。このカルチャーを０%, 10%, 20%, 30%, 40%および50%含有するコンポストを調製し, １〜５週間培養した。培養後, １g当たりの微生物数を測定し, コンポストの状態を観察した。５週間後の30%含有コンポストにおいて, 92.67×107 cells/gという微生物数が得られた。この時のC/N比は11.77, pHは7.0, 含水率は60.80%であった。コンポストが熟成したことは, 黒色化と軟質化および土壌化に特徴的な匂いによって特徴付けられた。・次世代シークエンサーを用いた16s rRNAの解析によるサトウキビ害虫シロアリ類の腸内微生物相の比較 （Comparative analysis of microbial community structure and composition in sugarcane harmful termites by Illumina 16s RNA sequencing）Wen Hui Zeng（Guangdong Entomological Institute, China）　広西チワン族自治区はサトウキビの栽培が盛んな地域であり, シロアリによるサトウキビの収量と品質に与える被害が深刻である。食物はシロアリ腸内の微生物相に影響を与える大きな要因であることから, サトウキビに被害を与える２種のシロアリ, イエシロアリとタイワンシロアリ, を用い, 両種シロアリの腸内バクテリア相に与える糖分の影響を, 16s rRNAの解析によって検討した。高い糖分含量の食物を摂食することによって, 両種シロアリのバクテリア相は大きく変化した。Porphyromonadaceae科 （Candidatus Azobacteroides属およびDysgonomonas属）, Enterobacteriaceae科およびTreponema属のバクテリアが, シロアリ腸内におけるグルコース代謝を制御する重要なメンバーであると考えられる。