しろありNo.167
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14Termite Journal 2017.1 No.16714摂取した木材を分解しなければならないということであり, それだけ窒素が失われていくというジレンマを抱えている1)。シロアリには空中窒素固定を行う微生物(窒素固定細菌)が後腸内または共生原生動物の細胞内に共生しており, 慢性的な窒素不足を補っていると考えられる1)。 よって, 枯死植物(木質資源)に少ない窒素を体内に共生する窒素固定細菌による空中窒素固定などによって補うことで, 枯死植物におけるC/N比のアンバランスを克服し, 枯死植物の効率的な分解, 再資源化を可能にするというシロアリ特有の生物学的機能の存在が, 本研究で調査したヤマトシロアリにおいても確認できた。3.2 無機元素の分析結果と考察 無機元素の分析結果において, 全4試験地中, ナトリウム:2か所, カリウム:1か所, リン:2か所, カルシウム:4か所, 鉄:3か所, マグネシウム:1か所, マンガン:3か所, 亜鉛:3か所, ホウ素:2か所において, 土壌(上層土壌, 下層土壌)と比べて, 蟻土における各元素の濃度が有意に高かった。特に明確な傾向を示したマンガン, 亜鉛の2元素について, マンガンの分析結果を図3に, 亜鉛の分析結果を図4に示す。 熱帯においてシロアリの活動は, 巣(シロアリ塚)の構築に使用した土壌中の有機物の含有量を増加させ, 土壌の組成を変化させると言われている2-4)。これは, シロアリ塚を構築する際に, 唾液や排泄物が土の接着に使用されることによるものである。ヤマトシロアリにおける蟻土の構築においても同様なことが起こっているはずであり, 蟻土には, 唾液などの分泌物や排泄物由来の有機物が含まれていることになる。そして、その有機物は、餌として摂食した木質資源の分解物であ*:p<0.05(Wilcoxonの順位和検定(U検定))図3 「龍谷の森」試験地におけるマンガンの分析結果

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