しろありNo.167
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18Termite Journal 2017.1 No.167カッションのテーマにつながる背景が示された。少子高齢化と人口減少が, 少子高齢化・人口減少の急速な進展と大都市圏における後期高齢者の急増, 世帯数の減少により空き家がさらに増加, 地域のコミュニティの希薄化による居住環境の質の低下が起こっているという住生活上の諸問題の根本的な要因になっている。さらに, 住宅ストックに関する課題として, リフォーム・既存住宅流通等の住宅ストック活用型市場への転換の遅れ, マンションの老朽化・空き家の増加による防災・治安・衛生面での課題が顕在化するおそれへの対処が基本計画の課題とされている。ここでは, 国土交通省資料に基づいて新しく策定された住生活基本計画(全国計画)1)について紹介する。2.1 住生活をめぐる現状と今後10年の課題 我が国の総人口は平成22(2010)年の1億2, 806万人をピークに減少に向かい, 高齢者の割合は平成25(2013)年には25%を超え, 世界一の高齢社会となっている。住宅の戸数に大きな影響を与える世帯数も, 平成31(2019)年の5,307万世帯を頂点として, 平成37(2025)年には5,244万世帯に減少すると推定されている。世帯数の減少がさらに空き家を増加させることになる。平成25(2013)年に約820万戸あった空き家の総数(図1, 図2)が, 10年後の平成35(2023)年には約1,400万戸に, 特に問題となる賃貸・売却用以外のいわゆる「その他空き家」は, 平成25(2013)年の約320万戸から平成35(2023)年に約500万戸となる見込みとする予測もなされている2)。 住宅地における人口減少, 少子高齢化, 空き家の増加は, 地域のコミュニティを希薄化させることにより, 高齢者や子どもを地域全体で見守る機能の低下や災害に対する脆弱性を増大させるとともに(図3), 公共サービスの維持も困難になり, 居住者の日常生活の利便性も低下することになる。これらの悪循環が過疎化を一層加速することになる。 平成25(2013)年には, 住宅ストック数は約6, 063万戸と世帯数を上回って戸数的には充足し, 空き家も約820万戸となり, 既存住宅活用型市場への転換が求められてきた。しかしながら, 既存住宅の取引数は横ばい状態で新築住宅中心の市場から既存住宅活用型市場への転換が遅れている。 戸建て住宅に加えて, マンションの老朽化・空き家の増加により, 防災・治安・衛生面での課題が顕在化してきている。平成26(2014)年のマンションのストック数は約613万戸となり, 総住宅ストックの1割強となっている。さらに, 昭和56(1981)年6月以前の旧耐震基準時代に建設されたマンションのストック数は, 約106万戸となっている。これらの建設時期が古いマンションでは居住者の高齢化とともに, 賃貸化による非居住所有者の増加, 空き家の増加等により管理組合の役員のなり手不足など, 適正な管理が困難になっているものもある。そのため, 管理不全による共用部分の機能停止や設備の劣化等の状況に陥るとともに, 防災・治安・衛生面での課題が顕在化するおそれが生じている。2.2 住宅施策の基本的な方針 住宅政策の方向性を国民に分かりやすく示すために, 上述した課題に対応するための政策を, ①「居住者からの視点」, ②「住宅ストックからの視点」, ③「産業・地域からの視点」と3つの視点に立って, 以下に掲げる8つの目標に対してそれらの政策を総合的に実施することになっている。① 「居住者からの視点」 目標1結婚・出産を希望する若年世帯・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現 目標2高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現 目標3住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保② 「住宅ストックからの視点」(図4) 目標4住宅すごろくを超える新たな住宅循環システムの構築 目標5建替えやリフォームによる安全で質の高い住宅ストックへの更新 目標6急増する空き家の活用・除却の推進③ 「産業・地域からの視点」 目標7強い経済の実現に貢献する住生活産業の成長 目標8住宅地の魅力の維持・向上2.3 住宅すごろくを超える新たな住宅循環システムの構築 住宅ストックからの視点に立って, 住宅の購入でゴールとなるいわゆる「住宅すごろく」を超えて, 購入した住宅の維持管理やリフォームの適切な実施を行うことで, 住宅の価値を維持し, 良質で魅力的な既存住宅として市場で評価され, 流通することにより, 資産として次の世代に承継されていく新たな流れ(新たな住宅循環システム)を創出させる必要がある。さらに, 既存住宅を良質で魅力的なものにするためのリフォーム投資の拡大と「資産として価値のある住宅」を活用

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