しろありNo.167
27/73

23Termite Journal 2017.1 No.167 また, 適切な業務実施のため講習等の受講により必要な知識・経験等を補うことが必要であると考えられる。その際, 必要な知識等の習得状況を確認するため修了考査等を行うことが求められる。住宅の構造, 防水, 設備に関する工法・仕様等に関すること, 劣化事象等とするか否かの判定に関すること, 現況検査の具体的な実施方法に関すること, 報告書の作成及び報告方法に関すること, 公正な業務の実施上必要となる情報開示や説明上の留意点に関すること, 関係法令に関すること等が講習内容の例といえる。3.3 インスペクションに関連する宅建業法の改正 「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が, 平成28年5月27日に国会にて可決成立した。既存建物の取引時に, 購入者は, 住宅の質に対する不安を抱えている。一方, 既存建物は個人間で売買されることが多く, 一般消費者である売主に広く情報提供や瑕疵担保の責任を負わせることは困難である。そのために, 不動産取引のプロである宅建業者が, 専門家による建物現況調査(インスペクション)の活用を促すことで, 売主・買主が安心して取引できる市場環境を整備する目的で, 改正が提案されている5)。我が国の既存住宅の流通シェアは約15%程度と欧米諸国(約70〜90%)と比較して極めて低い水準にあり, 既存住宅の流通促進は経済効果, ライフスタイルに応じた住替え等による豊かな住生活の実現等, 大きな意義があるものとされている。 建物状況調査に関係する主な改正内容は, ① 媒介契約締結時にインスペクション業者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付② 重要事項説明時に買主等に対しインスペクションの結果の概要等を説明③ 売買契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付を宅建業者に義務付けるというもので, 既存建物取引時の情報提供の充実を図るものであり, 公布から2年以内に施行される。4. 既存住宅を対象とした住宅瑕疵担保保険 新築住宅の売主等は, 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づき, 住宅の主要構造部分の瑕疵について, 10年間の瑕疵担保責任を負うこととされている。構造計算書偽装問題を契機に, 売主等が瑕疵図5 既存住宅インスペクション・ガイドライン (国土交通省:住宅ストック循環支援事業について)

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る