しろありNo.167
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35Termite Journal 2017.1 No.167で仮に蟻害・腐朽検査員が建築サイドの情報をどの程度まで提供すれば, 建築士さんは実際に自分たちが潜ったのと同じような判断ができるのかなという, その辺, 小野さんはいかがですかね。【小野】そもそも, 保険という仕組みの中に検査料金と我々の保険法人が保険としてお引き受けするための保険料金, この2つがまずあります。そもそもが, やはり検査に時間をかければかけるほどより我々もリスクヘッジができますが, 実質的に余りにも時間をかけてしまうことによってまた保険料金に跳ね返ってしまえば高くなって, ただでさえ普及していないものがより一層普及しなくなる。 そのせめぎ合いの中で, 確かにインスペクションの中では, 潜らなくてもいいよ, 見られなければ見られないという報告をしなさい, というのがインスペクションですが, 保険の検査と大きく違うのがこの点で, 保険の検査で必ず見られないということはありません。 床下も確かに潜らなくてもいいですが, ある程度一定のリスクヘッジのためには必ず覗く, もしくは点検口を造ってもらうということがありますが, やはり床下の中の点検をそういったことで, 今回住宅に関しても始めましたが, こちらのシロアリ損害担保特約を付けることは, 確実にシロアリに対する知識を有した方がしっかりと床下の中すべて点検をしていただかなければいけないとったところで, この特約が生まれていますので, まさにいま土井さんが言われたような, お互いに持っている知識を, より一層これからうまく融合していけば我々の保険のリスクヘッジにもなります。 あと, 金物とか, 実際に内側における割れとか, 私ももともと検査をずっとやっていて既存の性能評価は, 土井さんが言われたような床下を這いずり回ります。それで, 建物全体を見ないと既存の性能評価は特に戸建てはできません。そういった中で, 見つけてしまうものが結構あります。金物とか, 私が経験上多かったのは腐朽で木が腐ってしまっている状態。特に, 昔のお風呂回りとか, そういったところで知識のある方々に見ていただいて, 報告を受けることによって, そこも改修してください。そうすれば, 保険に対するリスクがもっとヘッジされるということになっていけば, お互いがwin winで検査関係がうまく構築できるのではないか, いま土井さんのお話を伺ってそんなふうに思いました。【土井】ぜひ, 今後ともいろいろとご相談をしながらいい方向に進めていきたいと思います。 他に。会長, 何かありませんか。【会長】いまの質問と関連しますが, 例えば防水部分の瑕疵, あるいは構造部分の瑕疵ということがこの例に出ていますが, つまり, 腐りは水ですね。そうすると, 床下を這いずり回るとか, 屋根裏を見るとか, いろいろやられるのでしょうが, 検査の限界というのはなくて, わかるまで調査をして, それで結論を出すというか, 保険を適用するか否かを決めるというところまでいっているのでしょうかね。 つまり, 原因は水だけど, 結果はそれ以上の, つまりシロアリもあるし, 腐朽もあります。そこまではっきりさせて, なおかつそこまで保険でカバーするというスタンスになっているのでしょうか。【小野】端的に言ってしまうと, 保険は入りが緩くて出がきついです。引き受けるときは, なるべく簡素化した検査で, まさにいまのご指摘のように, 実際に事故が起こったときには, それなりの専門調査が出来る方にお願いをする場合もあります。 原因究明というのは, 住宅の場合は昨今では大変難しくなってきていて, 本当にどの部分から漏っているか, 水を本当に流してみて色水検査とか, あとは本当に徹底的に原因を究明するためには外壁の一部を破壊する。当然, 内部を破壊します。 そういった中で, ある程度行っても限界が見えない場合に関してというところまで検査するものと明らかにわかりやすい。「あっ, もうここだね」。シールが剥がれていて, そのシール部分に水を注中したら完全に水が出てきているからここだねと。やはり, この2種類に現状分かれています。 特に難しいのは, 新築の場合だとある程度の施工中の写真なども残っているので, そういったものは判断できますが, 既存の住宅の場合は買ったときにスケルトンになっているわけではないし, 我々が検査に行っているときもスケルトンになっている場合ではないので, そういったところでのリスクは大変高いし, 実際のところ事故率も高くなっています。 ですから, その事故が起こった原因をある程度, 我々も知見材料として少し大きめに壊して, それをどういった事象が起っているかを, いま事例として残そうという動きもあります。そういったところの原因究明の調査というのは, 相当それなりに各法人が責任を持ってしっ

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