しろありNo.167
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38Termite Journal 2017.1 No.167わかりませんが, いまはこういう現状でございます。【土井】ありがとうございました。 もう1点, 私の方から。今日のお話に関係しますが, 誰も触れてこなかったという中古住宅の活用ですが, 一体, 木造住宅の適正寿命といいますか, どのぐらいの寿命を想定するのか。長期優良住宅の方は2世代ということで, 50ないし60年ということですが, 私も自分なりの研究をやっていますが, 木造の適正住宅の寿命は何年なのか。切り口はたくさんあると思いますが, 私の方は日本の人工林の現状ですね。森林の活用ということを考えていくと, 森林の循環と中古住宅なりの木造の寿命とリンクさせながらやっていけば, まさにエコな環境になっていくのではないかと思っています。 それで, とりあえずLCCO2で成長の早い紀州材でシミュレーションしてみると, 大体60年から80年ぐらいで一番コストが小さいということになります。これは当然地域によって違ってくるとは思いますが, いま中古住宅の活用としての寿命を一体どうお考えになっているのかを少しお聞かせいただければと思います。どなたでもよろしいですが。【小坂】数値的な根拠があるわけではありませんが, 長寿命化リフォームの提案の中の1ページ, 私どもの方ムページに入っていただくと, こちらとこちらの冊子そのものは無料でございます。送料はいただくことになりますが, ぜひ申し込んでいただいてご覧になって頂ければと思います。 一応, これまでの様々な団体から委員の方を派遣いただいて, 7年間検討してきた最大公約数ですが, 90年を目指そうということで, いまやっております。 そうすると, 建て替えを繰り返すよりは, きちんとした性能向上リフォームを3回ほど繰り返しても, 総コストが安くなります。その分, ここの本では「ゆとり」と呼んでいますが, ゆとりの方に回せるので, トータルコストは安くなるということで, 一応90年と謳っております。残念ながら, まだこのリフォームを提唱したのが2010年ですので, その後, 90年持ったかどうかはこれからになりますが, 私どもはそういうふうに考えています。【土井】ありがとうございます。いまの90年という話になると, 基本的には戸建て住宅ですので, それも民間の所有ということになりますので, いろいろなことで瑕疵があれば保険の対応が出来ますが, 瑕疵がなければ, 当然, 定期的な修繕, 自己負担になっていきます。 分譲マンションであれば, 区分所有法でいわゆる長期修繕積立金というのが義務付けられていて, 多いか少ないかはなかなか難しい判断ですが, 少なくとも最低限の定期的な点検補修工事ができる。 だけど, 一方で戸建て住宅で本当にどこまで住まい手がその辺り, 費用が要るのかということを理解しているのでしょうか。それが理解されていないと, 結局, 計画上は90年いくけれども, そこまで絶対にいかないという話になるのではないかと思っています。 皆さん, 戸建て住宅にお住まいになっていてどうですか?マンションと同じように, 修繕用の費用を積み立てているという方はおられます? 多分, ほとんどの方はおられないと思います。特に, いまの経済情勢ですと, そんな余裕があったらすぐ取り崩す。自分だったら, すぐに取り崩すタイプなので多分無理でしょうが。 いかがですかね, その辺りの行政的な施策は。もう課長が帰られたので何とも言えませんが。県なんかは, いかがですかね。【森】まあ, うちの県でももちろん戸建て住宅はたくさんありますが, 多分, そういう意識を持っている人が何人かいるぐらいで, 家を借りてという紹介がこの中にありましたが, そういうのも全然普及していない状態なので, まだまだこれからかなとは思っています。【土井】よろしいでしょうか。そろそろお時間になってまいりましたので終わりたいと思いますが, よろしいですか。  それでは, 森さん, 小坂さん, 小野さん, お3人に盛大な拍手で感謝申し上げたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手)パネルディスカッション

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