しろありNo.167
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40Termite Journal 2017.1 No.167計のため, まず上記3種の検知技術について, シロアリの生態に基づく物理的特性の把握を目的に定量的データを採取することとした。 実証試験は, 森林総合研究所との共同研究のもと, シロアリ実験棟で実施した。なお, マイクロ波ドップラレーダ法によるシロアリ検知手法については, 電気通信大学との共同研究に基づくものである。3. シロアリ検知技術の実証評価3)3.1 ドップラレーダ法によるシロアリ検知 ドップラレーダ法の原理図を図1に示す。シロアリが1〜5mm/sで動いている食害木材に24GHzのマイクロ波を照射した場合, 木材からドップラシフトを受けない反射電力に比較して, シロアリからの反射電力は微弱で, かつ, ドップラ周波数は1Hz以下と微小である。このため, ドップラ周波数の検出には, 送信電磁波の高い周波数安定度と, 受信電磁波からドップラ周波数を分離する周波数分解能の高い信号処理技術が必要となる。ここでは, 電磁波によるシロアリ検知の可能性について検証した。実験状況を写真1に示す。1) 検証実験 シロアリ検知の実験装置は, 専用のドップラレーダ部と汎用計測機器から構成されている。シロアリ計測信号は, ドップラ信号の周波数帯域±1Hz内の相対電力を移動平均することで得ている。検証は, シロアリ検知時の基準値となる環境雑音電力(シロアリの無い環境雑音電力+センサ雑音)と木材にイエシロアリ100頭を封入したときの計測電力を比較評価している。2) 検証結果 環境雑音電力並びにイエシロアリ100頭を封入した木材とドップラレーダの計測距離を100mm, 200mm, 500mmに変化させたときの計測電力の時間変動を図2に示す。各計測距離におけるシロアリ計測電力は, 環境雑音電力に比して10dB〜25dBの電力差があり, シロアリが検知可能であることを確認した。計測距離が長くなるにつれて計測電力は減少するが, シロアリの頭数が多くなれば計測電力が増加するため, 広い範囲を探知する非接触探査の可能性も期待できる。このほか, ドップラレーダ法により, シロアリコロニー, ベイマツ, アカマツなどのシロアリ生息木材でも同様の結果が確認された。図1 ドップラレーダ法原理図図2 環境雑音と木材(イエシロアリ100頭封入)の計測電力写真1 ドップラレーダ法によるシロアリ検知実験状況3.2 代謝ガス法によるシロアリ検知 シロアリは, 木材の摂食により水素ガス, メタンガスなどの代謝ガスを発生することが知られている。この代謝ガスの検出は, シロアリ検知の有効手段と考えられる。ここでは, シロアリの代謝ガス中の水素ガスに着目し, 半導体水素ガスセンサを用いたポータブル水素ガス検知器及びガスクロマトグラフによる検証結果について述べる。シロアリシロアリの動きのドップラ周波数100mm200mm500mm
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