しろありNo.167
52/73

48Termite Journal 2017.1 No.167 一方, マイクロコントローラは各操作スイッチの指令を管理して装置の動作を制御しながら, 液晶表示器, ブザー, ランプとインターフェイスしている。摂食音の検出結果は1分間のイベント発生回数(CPM:Count per minutes)で表示を行う。 本検知器はバッテリ動作の可搬型であり, 1回の充電で連続8時間使用できる。4.2 シロアリ検知器実証評価 イエシロアリによる被害家屋の実証試験状況を写真9に示す。写真10は, 森林総合研究所モデルハウスの床下シロアリ試験片による実証試験状況を示す。これらの実証試験では10CPMから30CPMの信号検出ができ, 当初目標とした性能を有していることを確認した。実証評価結果から次のことが結論される。(1) マイクロホン式シロアリ検知器は, 目視検査可能な箇所全てで適用が可能である。(2) ただし, 畳や大壁など, シロアリと検査面との間に空気層などの介在物がある場合は, 透過する超音波の減衰が極めて大きくなるため, マイクロホン式シロアリ検知器では, 検査が困難である。(3) 摂食音圧は測定距離が長くなるほど減衰するため, 検査時は測定面に対してマイクロホンの面を正面に向け, 測定距離は1m以内に保つ必要がある。また, 測定面とマイクロホンの面の角度が45°を超えると検知が難しくなるため, 基本的にはマイクロホンの面を検査対象物に対して常に平行になるような形で走査する必要がある。(4) シロアリによる摂食はランダムに発生するため, 摂食音を取りこぼさないためにマイクロホンを図16 マイクロホン式シロアリ検知器回路構成写真9 シロアリ被害家屋の実証試験状況写真10 床下シロアリ試験片による実証試験状況100mm/s程度の速度で走査する。シロアリ摂食音が検知された場合は, その場でしばらく静止してノイズかどうかを確認する必要がある。

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る