しろありNo.167
53/73

49Termite Journal 2017.1 No.1675. マイクロホン式シロアリ検知器を用いた既存住宅のシロアリ検査ガイドライン5) シロアリの有識者による委員会及びワーキンググループを設置し, 表4の項目について内容を検討, 審議して, シロアリ検査のガイドライン案を作成した。表4 シロアリ検知器を用いたシロアリ検査ガイドライン項目1.ガイドライン策定の目的と考え方1.1ガイドライン策定の背景・目的1.2ガイドライン策定に当たっての基本的な考え方・趣旨2.既存住宅検査の適正な実施について2.1検査の内容 (1) 基本的な考え方 (2) 検査箇所 (3) 検査方法  (4) 判定基準2.2検査の手順  (1) 検査の実施・記録 (2) 検査結果報告書の作成・報告2.3検査技術者2.4公正な業務実施のために遵守すべき事項2.5情報の開示等ガイドラインは, 次の前提条件のもと作成している。(1) ガイドラインの適用範囲はシロアリ検査の全般でなく, シロアリ検知器を用いて行う検査に限定するのでタイトル及び本文に「マイクロホン式シロアリ検知器」と明記する。(2) シロアリ検知器を使用する検査員は, 蟻害腐朽検査員などシロアリ検査に一定の知識や実務経験を有していることとする。(3) 検査対象は近接目視可能な範囲とし, シロアリの存在が疑われる箇所を検査する。(蟻害, 蟻土, 蟻道が存在しないが水回り, 玄関框, 勝手口框, 雨漏りの跡のある部材など)(4) 検査対象とするシロアリは, ヤマトシロアリ, イエシロアリと明記する。6. おわりに 本稿では, 非破壊検査手法によるシロアリ検知技術の調査・実証評価を踏まえ, 開発・製品化したマイクロホン式シロアリ検知器について概説した。製品化にあたり, シロアリの木材摂食音の音響特性を物理的な定量的データとして把握することで, 高感度化, 低価格化, 検査員の利便性などを考慮した設計が可能となり, 実用的な製品を構築できたものと考えている。今後, (公社)日本しろあり対策協会会員の皆様に, 本検知器のフィールド評価をいただき, プロの眼から見た改善点を指摘いただければ, 製品の改良にフィードバックする所存である。謝辞 シロアリ検知器の開発にあたり, (国研)森林総合研究所大村和香子木材改質研究領域長には, 当初から, シロアリの生態, 検知技術についての教示とともに, 共同研究の形で, シロアリ検知の実証試験等に支援をいただいた。また, 京都大学簗瀬佳之助教には, シロアリ検知技術全般にわたる助言と, WEBサイトで公表されている研究成果, 論文等を参考にさせていただいた。製品化は, 工業会会員である(株)KJTD(高橋弘幸代表取締役)と久下幹雄氏が担当した。マイクロホン式シロアリ検知器を用いた既存住宅のシロアリ検査ガイドラインは, 関東学院大学中島正夫教授を委員長とするガイドライン検討委員会が作成し, 平成27年3月に国土交通省に提出した。シロアリ被害家屋の実証試験は, (公社)日本しろあり対策協会会員に, 代謝ガス法の試験評価は, (株)エフ・アイ・エス, 新コスモス電機(株)に, ドップラレーダ法の試験評価は, 電気通信大学稲葉敬之教授に, それぞれ支援・協力をいただいた。この場をお借りして御礼申し上げます。参考文献1) 国土交通省, 日本非破壊検査工業会(2011):既存住宅売買・リフォームに係る保障・保険制度における技術的ガイドライン, 平成23年3月.2) 京都大学ホームページ:木質構造物の生物劣化診断と防除, http://h3news1.kais.kyoto-u.ac.jp/projects/index.html#ndt.3) 国土交通省, 日本非破壊検査工業会(2012):既存住宅売買・リフォームに係る保障・保険制度における技術的ガイドライン, 平成24年3月.4) H.Nakamura, Y.Nagaoka, H.Tashiro, W.Ohmura(2012):Study of termite detection technology by Acoustical Method JSNDI The 21st International Acoustic Emission Symposium.5) (株)KJTD(2013, 2014, 2015):住宅市場整備推進事業成果報告 シロアリの検出を行う為の検査機器の開発, 平成25年3月, 平成26年3月, 平成27年3月6) 高橋, 三浦, 田代, 大村, 原田, 久下(2014):木材摂食時に発生する超音波を利用したシロアリ検出器の開発 日本木材保存協会年次大会, 東京, pp.21.

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る