しろありNo.167
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50Termite Journal 2017.1 No.167京都大学大学院農学研究科 渡辺 祐基第25回国際昆虫学会議(ICE 2016)セッション「木材害虫の世界的展望」に参加して情報Information1. はじめに 2016年9月25日から30日にかけて, アメリカ合衆国フロリダ州オーランドにて, 第25回国際昆虫学会議(XXV International Congress of Entomology, 以下ICE 2016)が開催された。オーランドはウォルト・ディズニー・ワールドやユニバーサル・スタジオ・フロリダなどのリゾート施設を有する世界屈指の観光都市であると同時に, アメリカを代表する会議・イベント開催地でもある。ICE 2016のメイン会場となったOrange County Convention Center西コンコース(写真1, 2)は, 本会議と同規模の会議を2〜3件収容できるような巨大な施設である。同センターはさらに, 北および南コンコースも備えており, 全米でも第二の規模を誇る会議場とのことだ。 ICEはアメリカ昆虫学会(ESA)が主催する4年に一度の国際会議であり, 第1回会議が1910年に開催されてから100年以上の歴史を有する, 昆虫学分野最大の集会である。その中でも, “Entomology without Borders”(国境のない昆虫学)をテーマとして掲げる今回の第25回会議は, 40年ぶりにESA本拠地であるアメリカで開催されたこともあり, 歴史上最大規模となった。参加者数は102ヶ国から6,682名と, 当初の予測6,000名を大きく上回る数字であり, 発表件数は合計5,396件に上った。口頭発表セッション数も, 3形式(シンポジウム, 一般講演, 学生講演(コンペティション))合わせて400件を超え, 時間帯によっては50ものセッションが同時進行するというような状況であった。本稿では, セッションの一つ“Symposium: A Global Perspective on Insect Pests of Wood Products”(木材害虫の世界的展望)の各講演者の発表について紹介する。2. セッション「木材害虫の世界的展望」における発表 セッション“Symposium: A Global Perspective on Insect Pests of Wood Products”は9月26日の午後1時30分より開始された。本セッションはシンポジウム形式で開催され, 一般講演や学生講演とは異なり, セッション主催者を通じて講演者の募集や発表要旨の登録が行われた。昆虫学関連の国際会議で, 木材害虫に特化したセッションは過去に例がないのではないかと思われるが, 吉村 剛博士(京都大学・教授)のご尽力もあり, シンポジウムとしての立ち上げに成功したとのことだ。当セッションはBrian Forschler博士(ジョージア大学・教授)およびVernard Lewis博士(カ写真1 会場となったOrange County Convention Center写真2 会場のメイン入口より
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