しろありNo.167
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58Termite Journal 2017.1 No.1674.展望 図2に示した通り, 本手法はDNAの増幅にNested PCR法を用いるか, LAMP法を用いるかで, 遺伝子分析に要する手順に大きな違いが生じる。本手法を, フィールドにより近い, 現場での簡易同定手法として活用することを考えた場合, LAMP法は, 1)反応が一定温度で進むことから, 高価な機器(サーマルサイクラー等)がなくても試験が可能なこと, 2)短時間で判定に必要なDNAの増幅が完了すること, そして3)電気泳動を行うことなく, その場で目視による検出が可能なことといった特徴から, 非常に有効な方法であるといえる。本手法の実用化に当たっては, いくつかの課題があり, 排出物の量と鮮度が判定に与える影響の評価, プライマーの検出感度と種特異性の向上, DNA抽出にかかる手間の軽減, コストダウン等が挙げられる。一方で, 本手法は, すでに国内に侵入している木材害虫の同定はもちろん, 例えば日本未侵入で今後侵入を警戒している生物に対しても, あらかじめDNA情報さえわかっていれば, プライマーを作り変えるだけで対応可能である等, 優れた汎用性を有する。今後, 実用化に向けた取り組みが期待される。5.まとめ 本手法は, ヒラタキクイムシやアメリカカンザイシロアリのような木材害虫由来の排出物が遺伝子分析による同定手法に利用可能であることを示したものであり, LAMP法等の簡易遺伝子分析技術と組み合わせることで, 木材害虫の早期発見および同定技術として有効な手法となると考えられる。図3 ヒラタキクイムシにおけるNested PCR法(上)およびLAMP法(下)の判定結果(1 ヒラタキクイムシ成虫;2 近縁種A成虫;3 近縁種B成虫;4 ヒラタキクイムシ排出物;5 近縁種A排出物;6 近縁種B排出物;7 蒸留水)図4 アメリカカンザイシロアリにおけるNested PCR法(上)およびLAMP法(下)の判定結果(1 アメリカカンザイシロアリ擬職蟻;2 アメリカカンザイシロアリ排出物;3 近縁種A擬職蟻;4 近縁種B擬職蟻;5 蒸留水)
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