⬇釘打ち込み痕88Termite Journal 2020.1 No.173写真1 スギ試験体の食害の様子図2 引き抜き試験加力概要図3 釘の引き抜き試験の代表的な荷重変位関係く挙動となっている。また, 前施工試験体においては釘のさびに起因するためなのか引き抜き耐力が高く徐々に耐力が減少していく様子が見られたが, 後施工試験体ではコントロールと同様に剛性は高かったが耐力はあまり高くなく摩擦を伴って引き抜けていくのこぎり状の荷重変位関係を示す試験体が多く見られた。ただし, 前施工試験体においては, 釘に錆が発生していないものがあり, 最大耐力及び初期剛性のばらつきが大きい結果となった。強度評価については, 一般的に用いる最大耐力, 初期剛性, 釘の引き抜き抵抗と仕事量が項目として挙げられる。釘の引き抜き抵抗とは, JIS-Z2101に示されている次式の打込まれた長さ当たりの引き抜き強度性能である。また仕事量は釘をすべて引き抜くまでにかかった仕事量を指す。2.4 試験方法3.2 荷重-変位関係及び破壊性状3. 試験結果3.1 食害状況3.3 強度特性による評価図2に引き抜き試験の加力概要を示す。加力は, 木材用万能試験機(エクセム:Mok-U50)を用いて, 単調加力とし, 載荷速度は2mm/minで釘が引き抜けるまで実施した。変位は, ストレインゲージ式変位計により, 2か所で計測し, その平均値を用いた。写真1に代表的なスギ試験体の食害の状況を示す。スギでは心辺材で食害が異なり, 明らかに辺材に被害が集中している様子であった。図3にシロアリ食害を受けた試験体の引き抜き実験の代表的な荷重−変位曲線を、コントロールと前施工, そして後施工の試験体について示す。コントロール試験体においては後施工試験体と同様に摩擦による初期剛性が発揮されているがその後は徐々に引き抜けてい
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