しろありNo.173
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 図4から図7にそれぞれの強度性能と容積密度の関係について示す。 T : 釘の引き抜き抵抗(N/mm)  F : 釘の引き抜きに要した最大耐力(N) ℓ: 釘の打込まれた長さ(本研究では45mm) 最大耐力については, 前施工試験体が前述のように錆の影響があるためか高い数値を示した。コントロール試験体と後施工試験体との容積密度が等しい350〜450㎏/㎥辺りを比較すると下限を示している値は近い値を示しており, 大きな差が見られず容積密度で説明できる値であることが確認できた。 初期剛性については, もともとばらつきが大きくわかりにくい指標であるが, 後施工の突出して高い値の一体を除いては, 最大耐力ほど明確な差はないが同様の傾向であったと考える。 仕事量についても, 初期剛性と同様の傾向がみられ, コントロール試験体においてもかなり大きなばらつきがあることがわかった。 最後に引き抜き抵抗については, 最大耐力と同様の傾向で前施工試験体とその他では明確な差が見られた。錆に伴う耐力上昇がそのまま反映されている形となっている。 これらの結果より, 後から施工する釘の引き抜き性能については, せん断性能2)と同様に, 容積密度低下に伴う性能低下がみられるものの, 前施工試験体についてはそのような傾向が見られないことがわかった。図4 最大耐力と容積密度の関係図5 初期剛性と容積密度の関係図6 仕事量と容積密度の関係図7 引き抜き抵抗と容積密度の関係993.4 診断機器の測定値と強度特性の関係 まず, 打込み深さと容積密度の関係を図8に示す。コントロール試験体, 蟻害試験体ともに打込み深さと容積密度には高い相関関係が見られ, 容積密度の低下とともに, 打込み深さの増加が同様の値で見られた。容積密度が2割から3割の低下することによって, 大きく打込み深さが増加している様子もわかった。 図9から図12にそれぞれの強度性能と打込み深さの関係について示す。 最大耐力については, 前施工試験体が明らかに高い値を示しているものの打込み深さの増加に伴い最大耐

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