しろありNo.173
24/58

( Mm 1101×( )0abccaabb 0a●0)Lm/sUFCa●b●b●b●a●度濃酸酢内腸量菌アチラセ14012010080604020(ー)コロニーAセラチア(+)コロニーB1.21.00.80.60.40.2図3  酢酸によるセラチア菌の抑制作用。異なるアルファベット間で有意差がみられた(ANOVA後のTukey HSD, P < 0.05)。バーは標準誤差を表す。103020酢酸濃度 (mM)4050腸内微生物(ー)腸内微生物(+)腸内微生物(ー)(+)(ー)(+)(ー)(+)(ー)腸内微生物(+)2020微生物を抑制する物質として機能することが知られている10)。一方で酢酸生成菌のような分泌者は酢酸に対する耐性を獲得することで高濃度の酢酸下での生育を可能としている11)。本研究によってシロアリ腸内微生物は高濃度の酢酸環境中で生存しており, さらに酢酸は巣内の日和見感染菌に対する抑制物質として働くことが明らかになった。これらから, シロアリは環境中において酢酸を生産する微生物を取り込み, 腸内における共生を始めることで栄養と他の微生物からの防衛という複数機能を同時に手に入れた, というシナリオが示唆された。図2  シロアリの腸内酢酸濃度。X軸はそれぞれの処理区を, Y軸は腸内酢酸濃度を表す。それぞれのコロニーにおいて, 異なるアルファベット間で有意差がみられた(ペアワイズt検定, P < 0.00417, ボンフェローニ補正)。バーは標準誤差を表す。 また, 本研究において腸内微生物が巣内の日和見感染菌に対して酢酸濃度を上げることで防衛を行っていることが示唆された。コロニーAにおいて, 原生生物を持つシロアリのうちセラチア菌に暴露された処理区では, セラチアに暴露されていない処理区と比較して高い腸内酢酸濃度を示した(図2)。この結果が一方のコロニーのみで見られた背景としては, コロニーにおける腸内微生物群集の組成の違いが原因だと考えられる。どのようにシロアリ腸内微生物が巣内日和見感染菌に応答するのか, さらにそのコロニー間差がなぜ生じるかということに関してはさらなる研究が必要であろう。

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る