ターミメッシュジャパン㈱ 村尾 宗則Reports ターミメッシュシステムの特徴はシロアリの身体の中でも特に硬い部位である頭部のサイズより網目の小さな金網をシロアリが建物に侵入すると考えられる部分に取付ける事でシロアリの侵入を未然に防ぐ事である。(写真2)ターミメッシュシステムは防蟻薬剤による化学的な力を使わず, シロアリが突破する事のできないバリア材=金網で侵入を防ぐので物理的バリアと呼ばれている。シロアリを防ぐ物理的バリアに求められる条件は, 1. 耐久性がある, 2. 柔軟性がある, 3. 他素材に取付けしやすい といった事があげられるが, ターミメッシュシステムはこれらの条件をクリアできるように設計されている。写真1 ターミメッシュによる木製電柱の保護(ハワイ)写真2 ターミメッシュとシロアリ(Coptotermes acinaciformis)1報文ターミメッシュの日本の住宅への適用1. はじめに 建築物の高気密化に伴う薬剤処理による健康被害への危惧や薬剤による環境汚染への懸念から開発されたターミメッシュシステムはオーストラリアで生まれ, 日本でも徐々に認知が進んでいる物理的防蟻工法である。2018年6月, (公社)日本しろあり対策協会「物理的防蟻材料及びその施工方法」の登録承認を受けたことから, ここにターミメッシュシステムの開発経緯, 製品概要と防蟻性能, 日本の住宅への適用を施工事例と共に紹介する。2. ターミメッシュシステムの開発と特徴 ターミメッシュシステムはオーストラリアでの防蟻薬剤の使用制限をきっかけに豪TMA社により1989年から開発が開始され, 様々な試験を繰り返し1992年に製品化された。1993年にはその効力が評価されオーストラリア規格協会が管理する工業・サービス規格であるオーストラリアンスタンダード1)に登録され, オーストラリア国内では薬剤以外の防蟻工法としての認知が広まり2000年のシドニーオリンピック村でも採用された。現在, 豪国内では第三者機関認証であるCodeMark認証を受け, 主要な防蟻バリア材の一つとして知られている。また豪以外に米国, フランス, シンガポールなどでも防蟻バリア材としての有効性が確認され, ケネディ宇宙センターのNASA施設やハワイの木製電柱の保護(写真1), シンガポール・チャンギ国際空港ターミナル3で採用されるなど海外でも防蟻バリア材として広く評価されている。3. ターミメッシュシステムの製品概要 ターミメッシュシステムで使用される主な部材は以下の通りである。
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