Redescription of Formosan subterranean termite, Coptotermes formosanus (Blattodea: Rhinotermitidae), with three new synonyms from ChinaGuan-Yu CHEN, Yun-Ling KE, Wei-Ren LIANG, Hou-Feng LI出典:ACTA ENTOMOLOGICA 2020 60(2):599-608た。この期間に, 100を超えるシロアリ分類に関する論文が中国で発表され, 中国のシロアリ分類学者は劇的に増加した。しかし, この時期に中国のシロアリ種を見直す研究は1件も行われていなかった。Eggletonは, これらの研究は視野が狭く, 修正する必要があると指摘した8)。近年のシロアリ分類についての再評価でも, Prorhinotermes Silvestri, 19099), Coptotermes10), Sinocapritermes Ping & Xu, 198611)およびStylotermes Holmgren&Holmgren, 191713)等の, 中国のシロアリ種の妥当性についてのEggletonの疑念が支持されている。Coptotermesの誤分類は, 種内形態差の過小評価と, 兵蟻と有翅虫の両方で形態計測解析した個体数が少なすぎることが原因の可能性があり10, 14, 15, 16), これは, 1980年代から1990年代の中国のCoptotermesの分類学的研究で一般的に見うけられた17, 18, 19, 20, 21, 22, 23)。中国産の20種のCoptotermesは, C. formosanusもしくはC. gestroiのシノニムの疑いがある10)が, これは, 中国のCoptotermesサンプルから公開されているすべての遺伝子配列が2つの種のいずれかに一致するためである。残念ながら, これらの疑わしい種のタイプ標本は, 遺伝的特性の確認に使うことができず, それらの妥当性またはジュニアシノニムかどうかの確認は棚上げされている。 中国産のCoptotermes 21種のうち, イエシロアリは1909年に最初の記述がある。イエシロアリの元の形態記述は, 同属種の判別を行うには簡略すぎたため, 混乱が生じた。イエシロアリの10のジュニアシノニムが報告されている16, 24)。さらなる混乱を避け, 中国産Coptotermesの分類学的位置を明らかにするために, 本研究では, Liら4)によって指定されたネオタイプ標本と, タイプ産地である台湾から収集された多数サンプルに基づいて, まずイエシロアリを再記載した。さらに, その形態測定データをXia & He21)によって記載された4種の中国種, C. changtaiensis, C. hekouensis, C. shanghaiensis, およびC. suzhouensisのタイプ標本データと比較した。その結果, C. changtaiensis, 19翻訳:京都大学生存圏研究所 藤本 いずみForeign Literature要約 イエシロアリ(Coptotermes formosanus Shiraki, 1909)は, 中国本土, 日本, 台湾, バハマ, および米国の重要な建築害虫である。イエシロアリは最初に日本語で記載され, 形態記載が同属種の判別には簡略すぎたため, 種の識別に混乱が生じた。現在までに, イエシロアリには10のジュニアシノニムが報告されている。さらなる混乱を避けるために, タイプ標本と台湾のタイプ産地から採集したサンプルに基づいてイエシロアリを再記載した。Coptotermes Wasmann, 1896に関する分類の大部分は世界中で明らかにされており, 中国の分類は異常値であり, 多くの種を見直す必要がある。我々は4つの中国種, C. changtaiensis Xia & He, 1986, C. hekouensis Xia & He, 1986, C. shanghaiensis Xia & He, 1986, およびC. suzhouensis Xia & He, 1986の分類学的位置を調べた。C. changtaiensis, C. hekouensis, およびC. suzhouensisがイエシロアリのジュニアシノニムであることを提唱した。C. shanghaiensisの形態特徴はイエシロアリに似ているが, 前者は有意に小さい。C. shanghaiensisの分類学的位置を確認するには, 上海エリアからCoptotermesのサンプルを集める必要がある。 緒言 シロアリの防除や被害箇所の修理にかかる費用は, 全世界では年間数百億米ドルになる1, 2)。Coptotermes Wasmann, 1896は, 害虫とされる割合が最も高く, 経済的に最も重要なシロアリのグループと見なされている1, 3, 4, 5)。イエシロアリCoptotermes formosanus Shiraki, 1909およびゲストロイイエシロアリCoptotermes gestroi(Wasmann, 1896)は, 侵略的傾向が高いため, 他種よりも悪名が高い6, 7)。しかしCoptotermesは非常に重要な害虫にもかかわらず, 多くのCoptotermesの分類学的位置は未だ明らかではない。 Eggleton8)は, 1949年から1996年までの生物地理区におけるシロアリ種の記載とシノニム率を再調査し海外文献中国産3種の新シノニムによるイエシロアリの再記載
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