2424毛はまばら, 他は毛が密;第1節は円筒形で最長;第2〜15節は数珠状;第2節は最短で第6節まで徐々に長くなる;先端は楕円形。前胸背板は台形, 幅は頭部より狭い。前縁と後縁はわずかに凹み, 前縁が最も広く, 後方で狭まる。中胸背板は前胸背板と同程度の幅, 側縁は丸みを帯びる。後胸背板は中胸背板と同様の形状なるも, 前胸背板と中胸背板よりも幅が広い。前胸背板の毛は, 中央部はまばらで6〜15本の長い剛毛があり, 周縁部全体は有毛で20〜40本の長い剛毛がある;中胸背板と後胸背板は, 前胸背板と同様に有毛, 中央部はまばら, 周縁部全体で密。腹部は狭く楕円形で, 毛が密。脚の腿節は頑強。脛節は細い。距刺は3:2:2, 付節は3節。Xia & HeでのイエシロアリCoptotermes formosanus21)に対する見解 Xia & He21)は, イエシロアリの形態学的データの取得方法についての言及はなかった。Xia & He21)はイエシロアリの有翅虫の形態を次のように述べている:背面側から見た頭部は円形, 眼は円形, 単眼は楕円形(直径最大:0.20〜0.23mm, 最小:0.15〜0.16mm), 複眼は楕円形(直径最大:0.40〜0.43mm, 最小:0.40〜0.43mm)。兵蟻の形態は次のとおり;頭部は洋ナシ形, 額腺は三角形, 前胸背板の幅は長さより広い(最大幅:0.80〜0.87mm, 最大長さ:0.38〜0.42mm), 触角は14〜15節。 台湾のサンプルの各イエシロアリの特徴の測定値(表1, 2)は, Xia & He21)の測定値よりも変動幅が大きかった。特に兵蟻カーストでは, 台湾のサンプルの頭部の形状は変動があり, 高い種内変動の連続性を示し(図3a–h), 額腺の形は三角形あるいはアーチ型である(図3i–l)。イエシロアリの3つの新しいシノニムCoptotermes changtaiensis Xia&He, 1986, syn. Nov.タイプ産地 中国:福建省:長泰県[福建長泰]。調査タイプ標本 シンタイプ(等価基準標本):中国:福建省:長泰県[福建長泰], 16-V-1965, S. -D. Fan, S. -W. Peng, P. -F Guo[范树德, 彭辛午, 郭培福], 17S, 1W, No.3760。追加調査標本 中国:上海[上海], 2-VII-1969, >10S, >10W, No. 1839。福建省:長泰県[福建長泰], 10-V-1965, >10S, >10W, No. 3758。浙江省:建徳市[浙江建德], 22-XI-1962, >10S, >10W, No. 2894。杭州市[浙江杭州], 3-III-1975, >10S, >10W, No. 4163。海寧市[浙江海宁], 24-XI-1976, >10S, >10W, No.4429。備考C. changtaiensisの原記載は, 兵蟻カーストのみによるものである。Xia & He21)は, C. changtaiensisは, 兵蟻の頭部形態でイエシロアリと区別できるとしている:C. changtaiensisの頭部は楕円形または丸いが, イエシロアリでは洋ナシ形をしているとしている。しかし, イエシロアリの兵蟻の頭部形態は変動があることが判明した(図3)。C. changtaiensisの兵蟻の頭蓋形態(図4a)は, イエシロアリの頭蓋形態の変動(図3e–h)とオーバーラップしている。C. changtaiensisとイエシロアリでは, 剛毛の分布と他の特性に差異は認められなかった。これら2種の形態計測結果は非常に重複しており, Xia & He21)によって提唱されたそれらの差異は本研究では検出されていない(表3)。Coptotermes hekouensis Xia & He, 1986 syn. nov.タイプ産地 中国:雲南省:河口郡[云南河口]。調査タイプ標本 シンタイプ:中国:雲南省:河口郡[云南河口], 11-V-1962, W.-L. Xu [徐维良], 2A, 4S, No. 1282.追加調査標本 中国:雲南省:河口郡[云南河口], IV-1962, 2N, >10S, >10W, No. 1270. 河口郡[云南河口], 11-V-1962, 1A, 7S, >10W, No. 1269.備考Xia & He21)は, C. hekouensisは, 有翅虫の3つの特徴によりイエシロアリと区別できるとしている:イエシロアリの頭部は赤褐色で, C. hekouensisでは黄褐色であり, C. hekouensisはイエシロアリよりも前胸背板が狭く後脚脛節が短い。兵蟻については1つの判別点が記載されている:頭蓋形態がイエシロアリの洋ナシ形に対し, C. hekouensisでは楕円形または丸い。本研究で調べたC. hekouensisのタイプ標本は, 50年以上保存されており, 退色している可能性がある(図4)。標本の保存状態が色に影響を与える可能性があるため, 我々は色を有効な基準とは見なさない。C. hekouensisの兵蟻の頭部形態(図4c)は, イエシロアリの頭部形態の変動(図3a–d)とオーバーラップしている。また, C. hekouensisとイエシロアリの間には, 剛毛の分布と他の特性に差異は認められなかった。これら2種の形態計測結果は非常に重複しており, Xia & He21) によって提唱されたそれらの差異は本研究では検出されていない(表3および4)。
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