■ff■ff■ff■率少減量質■率亡死■率少減量質ff■■未乾燥腐朽材抽出物健全材健全材抽出物溶媒のみ未乾燥腐朽材風乾腐朽材ff■■未乾燥腐朽材抽出物加熱腐朽材健全材抽出物溶媒のみ飢餓食忌避を起こしていた可能性もある。そこで, この菌によって実験室的に腐朽した材による摂食試験を杭の試験と同様に実施した(図1)。杭の試験と同様に未乾燥の腐朽材でのみ忌避効果が示されることが明らかとなり, 杭における忌避現象が分離菌によって引き起こされたことを裏付ける結果となった。図2 分離菌によって腐朽させた木材のn-ヘキサン抽出物を含浸したろ紙による強制摂食試験の結果 (a)試験終了後のろ紙の質量減少率 (b)試験終了後のヤマトシロアリの死亡率図1 分離菌によって腐朽させた木材の強制摂食試験結果 分離菌を培養したPDA培地(菌のみを成長させた培地)と分離菌で腐朽した木材のn-ヘキサン抽出物をろ紙にしみ込ませて行った選択摂食試験では, 前者の抽出物の忌避効果が特に大きくなった。 次に, 上記それぞれの抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーでn-ヘキサン画分, ジエチルエーテル画分及び酢酸エチル画分に分け, ろ紙にしみ込ませて強制摂食試験を行った(図3)。その結果, 腐朽材抽出物のn-ヘキサン画分とジエチルエーテル画分による忌避効果が有意に大きく, PDA培地の同じ画分の忌避効果は腐朽材由来の画分ほど明らかではなかった。試験後のシロアリ死亡率もこれらの結果に対応していた。以上のことから, 摂食忌避に関与する物質は木材の腐朽過程で産生される以外に, 木材が関与せずに菌が生育した場合でも産生されるが, 精製することによってその効果がなくなると考えられた。Termite Journal 2022.1 No.1771111腐朽菌および腐朽材のn-ヘキサン抽出物を含浸したろ紙に対する摂食試験 実験室的に調製した腐朽材のn-ヘキサン抽出物をろ紙にしみ込ませて強制摂食試験を行った結果(図2), ろ紙の質量減少率が腐朽材からn-ヘキサンによって抽出された物質によって有意に小さくなることが明らかになった。また, 摂食試験後のシロアリ死亡率は飢餓状態に置かれたシロアリとほぼ同じ率になっており, 摂食活動がn-ヘキサン抽出物により抑制されると判断された。
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