しろありNo.177
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X線源マイクロフォーカスX線CT装置内Research Topics図1 試料の設置とX線CT撮像方法SID: X線源と検出器間の距離(mm)SOD: X線源と試料の回転中心間の距離(mm)虫として用いた。人工飼料から幼虫を採取し, パラゴムノキ属(Hevea spp.), またはミズナラ(Quercus crispula)の試料(繊維方向長さ100 mm)の木口面の辺材部分にあけた直径3mm(または6mm), 深さ10 mmの穿孔内に幼虫1頭を接種し, その後, 穿孔は竹ひご(またはだぼ)を埋め込み栓をした。なお, 幼虫の穿孔状況に応じて, セルロース, 小麦粉, エビオス®を5:3:2の割合で混合した粉末を穿孔に詰めることによって, 幼虫が穿孔しやすいようにした。幼虫を接種した試料は, 温度26˚C, 相対湿度70%の恒温恒湿器内に設置し, 設置後3~7日ごとに取り出して, マイクロフォーカスX線CT装置((株)島津製作所, SMX-160CTS)による撮像に供した(図1)。なお, 撮像条件は管電圧75 kV, 管電流70 µA, X線源と検出器間の距離(SID)を400 mm, X線源と試料の回転中心間の距離(SOD)を200 mmとし, 分解能は0.062 mm/voxel, 撮像視野は縦方向で29.0 mm, 横方向で30.7 mmとなった。また, 得られたCT画像をMPR表示することによって, 任意の断面での長さ等の計測を行った。Termite Journal 2022.1 No.17713京都大学大学院農学研究科 簗瀬 佳之検出器試料回転台研究トピックスマイクロフォーカスX線CTを用いた木材穿孔昆虫の摂食過程の可視化1. はじめに フローリング材料や壁の合板などの内部で進行するヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)やアフリカヒラタキクイムシ(Lyctus africanus)の被害, またはラワン材などの食害がみられる比較的大型のホソナガシンクイ(Heterobostrychus aequalis)の被害を非破壊的に検出することや被害の程度を把握することは, これらの木材加害昆虫の防除において重要であり, 被害を早期に発見する技術の開発が期待されている。そのためには, 木材中でのこれらの種の幼虫の摂食活動を把握する必要がある。本研究では, ヒラタキクイムシ, アフリカヒラタキクイムシ, およびホソナガシンクイの食害材をマイクロフォーカスX線CT装置を用いて撮影し, 食害材内部の幼虫の食害様式の評価と食害によってできた空洞部分の検出を試みた。2. 実験方法 京都大学生存圏研究所居住圏劣化生物飼育棟で人工飼料を用いて飼育されたヒラタキクイムシ, アフリカヒラタキクイムシ, およびホソナガシンクイを供試幼

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