2)White, F. (1983): The Zambezian regional centre of endemism. In: “The vegetation of Africa: a descriptive memoir to accompany the UNESCO/AETFAT/UNSO vegetation map of Africa (Natural Resources Research 20)”Eds. by F. White, UNESCO, pp.86-101.3)Campbell, B.M., A. Angelsen, A. Cunningham, Y. Katerere, A. Sitoe, S. Wunder (2007): Miombo woodlands: Opportunities and barriers to sustainable forest management. Harare. Centre for International Forestry Research (CIFOR). 異なる形状のシロアリ塚が見られるエリアがあり、図2のシロアリとは異種の個体と推察される。このような塚は, 比較的平地且つ粘土質, 弱アルカリ性の土壌にて排水性が悪い地域で見られ, そこには低木のABWが群生する。また, 同形状の塚は, 図1のような形状の塚の近辺では見られないことから, 異なるシロアリ間での個体分布や生態により一定の境界分布が形成されていると推察される。このような実地調査, 種のサンプリングと同定, さらにリモートセンシングの活用によるより広範囲での分布の把握など検討中である。図1 吉村先生とシロアリ塚図2 シロアリ塚内部のシロアリ職蟻図3 異なる形状のシロアリ塚17173. おわりに タンザニアにはABW以外にも多くのマメ科の樹木があり, それら心材には高い生物劣化抵抗性が確認されているものがある12)。ABWの生育地であるタンザニア南東部においては, Afzelia quanzensis(スワヒリ語名:Mkongo)やMillettia stuhlmannii(スワヒリ語名:Mpangapanga)などの高耐久性の有用樹木が生育し, Mkongoなど一部の樹種は, 現地では家具や住居扉などに使われている。これらは, タンザニア国内での木材利用においては硬質, 高耐久性の木材として重宝されている。森林内で見れば, 多種のシロアリが生息する森林生態系の中で, シロアリ食害に対する抵抗性が高いことは樹木と生物の共存のために必要なのであろう。ABWにおいては, 成木の横断面のおよそ90%を占める心材部分が, 高い生物劣化抵抗性を有している一方, 辺材は抵抗性に乏しい12)。このことから, ABWの心材成分が生物劣化抵抗性に影響していると考えられ, このような心材形成戦略が森林内におけるABWの生存競争に影響を与えていると推察している。 筆者自身, これまで木材保存という切り口でしかシロアリを眺めることがなかったが, 本研究において樹木生態, 森林を切り口とすることで, 森林生態系の生物多様性が維持, 向上していく上でのシロアリの役割, および植生と人間活動との関連を見出したいと考えている。引用文献1)Campbell, B., P. Frost, N. Byron (1996): Miombo woodlands and their use: overview and key issues. In: “The miombo in Transition: woodlands and welfare in Africa,”Eds. by. B. Campbell, Centre for International Forestry Research (CIFOR), pp.1-10.
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