Research Topics森林総合研究所 神原 広平 私が吉村先生と初めてお会いしたのは, 山口大学の竹松研究室へ配属間もない学部生の頃のインドネシア調査だったと思います。たしか, 4th IWSS(International Wood Science Symposium)と合わせた調査日程でした。さすがは熱帯地域, さすがはインドネシアというのでしょうか, 大会会場の構内にもキノコシロアリ(Macrotermes sp.)の塚があり, やはりその時初めてお会いした簗瀬先生と一緒に塚を暴いて, “王室”や“菌園”を目の当たりにしたのを鮮明に思い出します。それ以来, 在学中に6th IWSSの際のインドネシア調査, 別のプロジェクトでのベトナム調査とタイ調査にご一緒させて頂きました。私自身が直接的に関わる研究ではありませんので研究トピックスとはいえませんが, 当時のシロアリ調査の様子を写真を交えて思い返し, 先生を偲びます。 インドネシア調査 インドネシアでの調査は, 前述の通り2002年の4th IWSSと2005年の6th IWSSへの参加に合わせての調査日程でした。どちらの調査もランダムサンプリングによるシロアリ相調査だったと記憶しています。 2002年は, インドネシアのカリマンタン島にある都市「ポンティアナック」に訪れました。写真1の集合写真を見返しますと, 土居先生や簗瀬先生, そしてスレイマン先生やユリアティ先生がご一緒でした。Mactrotermes sp.の塚にはじまり, おそらくCoptotermes sp.の被害だったと思いますが住宅内装材の蟻害調査もありました。 次の2005年は, 本誌145号1)でご紹介しているところですが, 飛行機を乗り継ぎ, 「ジャヤプラ」と「マノクワリ」の2つの都市で調査を行いました。ジャヤプラの市街地調査では, 木工所の板塀にできた蟻道からNastitermes sp.を, 付近の廃材からCryptotermes sp.を採集しました(写真2)。マノクワリではパプア大学のエレノア先生にご助力を頂き, 大学演習林から日本のイエシロアリやヤマトシロアリと同じミゾガシラシロアリ科に属する, Coptotermes sp., Heterotermes sp., Schedorhinotermes spなどを採集しました。また, マノクワリでの家屋調査では, 木製物置で蟻害がみられ, わずかな空間にも関わらず, 物置上部にMicrocerotermes sp.の巣を, 壁材からCryptotermes sp.を採集しました。さらに付近の家屋からはGlyptotermes spも採集できました。写真1 2002年インドネシア調査にて写真2 吉村先生とCryptotermes spを採集51研究トピックス東南アジア熱帯地域の多様なシロアリ相
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