5252写真3 マノクワリ調査メンバー写真4 調査地までの行軍(ベトナム)は, 2m×100mの方形区画を設定し, これを1m×5mの小区画に分割し, 各小区画を一人当たり30分間できる限りのシロアリ種を採集するものでした。調査結果は各種の報告に詳しいですが, シロアリの多様性は, 単純に人工林と天然林の差だけでなく, 熱帯雨林であるか熱帯乾燥林であるかなど, 複合的に関わっていることを肌で感じる貴重な体験となりました。 シロアリは木材及び木質材料を劣化させる生物です。一方で, 熱帯地域の森林生態系の循環を担う生物でもあります。それを目にする貴重な機会を, 力仕事担当といっても決して逞しくはない一学生の私に与えてくだり, 常ににこやかに温かく接してくださった先生には言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。写真5 トランセクト法を用いた調査(タイ)ベトナム調査とタイ調査 吉村先生が代表のプロジェクト「熱帯大規模人工林における木材劣化生物の多様性評価と持続的管理の提案」において, マレーシア, ベトナム, タイでのアカシア植林地と近郊天然林のシロアリ相及び腐朽菌類相の調査が行われました。私は, 2009年のベトナム(写真4)と2010年のタイ(写真5)の調査に同行させて頂きました。前項のインドネシア調査ではランダムサンプリングによるシロアリの採集を行いましたが, これは調査にかける時間や労力の違いにより結果に差が出るため, 異なる調査地点の結果を比較するには不向きです。本プロジェクトは, 植林地と天然林でのシロアリ相を比較し, それぞれの多様性を理解することが大切ですので, 一定の面積を一定の調査労力をかけて採集し種数及び遭遇回数を記録するトランセクト法を用いて調査を行いました。ここで用いたトランセクト法参考文献1)神原広平(2006):パプア(インドネシア共和国)でのシロアリ調査を終えて,しろあり,日本しろあり対策協会,145,17-21
元のページ ../index.html#58