しろありNo.179
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①②③Termite Journal 2023.1 No.179表1  銅板ユニットから回収した試験材のプロフィール a~fの記号は図3を参照1111銅板との関係a上段片側面が直接接触b上段両側面が直接接触c下段直接接触なしd下段直接接触なしe上段底面が直接接触f上段底面の1/2が直接接触底面の1/2が流路g下段上面が直接接触h下段上面の1/2が直接接触上面の1/2と片側面が流路銅板流下水との関係片側面と底面の1/2が流路両側面と底面が流路片側面が流路上面と両側面が流路底面が流路上面と両側面が流路図4 断面試料の採取位置 試験材の質量減少率は下式により算出した。曝露後全乾質量は回収材の105℃恒量を測定した。曝露前全乾質量は, 試験材の変形や損傷を避けるため測定していない。そこで試験材と同じ原材料から調製して保管していた予備試験材10本の105℃恒量を測定し, その平均値を曝露前全乾質量として推定した。      曝露前全乾質量-曝露後全乾質量質量減少率=―――――――――――――――×100(%)          曝露前全乾質量 105℃恒量を測定した試験材の図4に示した3か所から, 厚さ10mmの断面試料を採取した。すなわち, ①プレート接触ゾーン(接触側材端から約75mm), ②試験材の中央付近(同 約150mm, 接触ゾーン内), ③非接触ゾーン(非接触側材端から約60mm)の3か所から採取した。 採取した断面試料は, 内部腐朽状況を観察するとともに, エネルギー分散型微小部蛍光X線分析装置(島津製作所 MEDX 1300J-TR)により, 以下の条件にてマッピング分析を行った。  X線発生部 : Rh  検出器  : Si(Li)半導体  管電圧  : 50kV  管電流  : 300μA  雰囲気  : 大気圧  分析径  : 50μm  ステップ : 100μm  測定点  : 350×350点 XRFマッピング分析は各ユニット試験材について実施したが, 本報では銅板ユニットの結果について報告する。3. 結果3.1 現地劣化調査 曝露開始から7年経過までの間, いずれのユニットにも腐朽劣化が発生し, 曝露年数とともに進行していった。試験材の劣化の詳細は, 以下に述べるように, プレートの有無や種類, さらには接触状態によって大きく異なっていた。 写真8~10は, プレートを挟んでいない対照区の試験材の腐朽劣化状況である。曝露2年足らずで菌糸が旺盛に繁茂し, 4年後には脆弱化が進んで子実体の形成も認められ, ほとんどの試験材が崩壊状態に至った。 写真11, 12は, 7年経過時の銅板ユニットの上・下段の試験材の様子である。上下段ともに, 銅板を挟んでいない中央付近の対照区の試験材は激しく腐朽し, 褐色の腐朽屑に塗れているが, 銅板を挟んだ上・下段施用区の試験材は変色や軟化が非常に少なく, 銅板による腐朽抑制作用が認められた。上・下段施用区の試験材を詳細に観察すると, 腐朽が強く抑制されている

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