①②③R①②③R①②③RTermite Journal 2023.1 No.179図7 曝露4年後の銅板ユニット試験材aから採取した断面試料のXRFマッピング分析 左:接写画像 中:透過X線像 右:Cu-Kα線像 Rは未曝露の健全材, そのほかの記号は図3, 図4を参照。赤線は挟み込んだ銅板を示す 1515 以上のように, 断面試料の分析結果は, 銅板の木材腐朽抑制におけるCuイオンの寄与を示すとともに, 抑制作用を応用するには, Cuイオンの移行経路の理解が重要であることを示唆している。4. まとめ スギ辺材を用いたダブルレイヤーユニットに銅板などのプレートを挟み込み, 屋外に7年間曝露して, 金属銅の木材腐朽抑制効果を検討した。 目視や触診による現地劣化調査では, 比較対照の塩ビ板ユニットでは2年後にすべての試験材に腐朽が発生したが, 銅板ユニットの銅板接触ゾーンでの腐朽発生率は低く, 7年後も40%に止まっていた。 曝露4年目に, 一部試験材を回収して質量減少率を測定した。塩ビ板ユニットの質量減少率は56%であったのに対し, 銅板ユニットでは35%にとどまり, 腐朽抑制が認められた。 銅板ユニットの銅板接触試験材から断面試料を採取し, 内部腐朽や銅の分布を分析した。断面内の銅板接触面から離れた場所ではほとんど銅が検出されず, 腐朽劣化が進んでいたが, 銅板接触面や銅板からの水の流域ではCu-Kα線が高く, 腐朽も見られなかった。 以上のように, 金属銅の木材腐朽抑制効果は7年間の野外曝露試験において実証された。試験材の詳細な分析調査は, 金属銅が抑制効果を発揮するには木材との接触が重要であることを示唆した。釘, ビスなどの接合具は必ず木材と接触するものであり, 金属銅の木材腐朽抑制作用の応用の可能性は高いと期待される。5. 謝辞 本研究の一部は, 令和3年度しろあり対策協会研究助成事業, 平成27~令和3年度京都大学生存圏研究所全国共同利用研究, 平成29年度日本銅学会研究助成により実施いたしました。ここに深謝いたします。
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