3.2 目的地への道のりの複雑さは集団の移動に影響09秒=2109秒(7頭), 30分39秒=1839秒(10頭), 14分51秒=891秒(10頭), 42分55秒=2575秒(9頭)で, お=10937秒(9頭), 3時間12分50秒=11570秒(10頭)で, 2121図6 目的地に到達するまでの時間図中の矢印は各個体が目的地に到着したことを表しており, 到着順に1位から順位を番号で記した。薄色は集団の上位半分, 濃色は集団の下位半分がかかった時間を表している。ンを3種類挙げた。①個体がそれぞればらばらに目的地へ移動するパターン, ②個体が連なり列を成して目的地へ移動するパターン, ③小集団ごとに目的地へ移動するパターン図7 集団の移動パターン集団が出発地から目的地に移動する際に予想される移動パター出発地(A)に入れたシロアリが目的地(B)に1頭も脱走することなく到達した。また, 迷路空間中の途中の位置に集団がとどまるといったことも起こらなかった。 シロアリは, 迷路の複雑度やパターンが異なっていても迷路を解いて, 目的地(B)にある餌や滞在しやすい空間を探し出し, 集団を構成する個体全員がそこに移動する, つまり集団の存在場所が遷移することを確認できた。があるのか? シロアリは迷路を解くことがわかったが, 迷路の複雑度が増加すれば, 解きにくくなるのだろうか。モデル観察系の障壁(C)の複雑度が小さい時と大きい時にどのくらい, 出発地(A)から目的地(B)へ至るまでの時間に差があるのかを調べた(図6)。 シロアリ集団10頭(または脱走しなかった個体の全て)が目的地へ到達するのにかかった時間をみると, 複雑度が小さい迷路を用いた場合にはそれぞれ, 35分おむね2000秒の時間がかかっていた。その一方で, 複雑度が大きい迷路を用いた場合には, 3時間02分17秒1万秒以上の時間がかかっていた。集団の構成員全員が, 複雑度が大きい迷路を解いて目的地(B)に移動するには, 複雑度が小さい迷路でかかる時間の, 5倍程度以上の時間が必要であった。 複雑度の大きい迷路は複雑度の小さい迷路と比べて, 1辺の長さは2倍, 面積は4倍であるが, 迷路の解決時間は, 辺の長さや面積に比例するわけではなく, それ以上にかかっていた。このことは, 迷路の複雑度は, 辺の長さや面積にだけ比例しているわけではないこととも関連している可能性はあるが, 少なくともシロアリもヒトと同じように, 迷路の複雑度が増加すれば解決時間も増加することがわかった。3.3 集団は目的地へ一斉に到達するのか? 集団がある場所からある場所へ移動する様式として, いくつかのパターンが想像できる(図7)。集団を構成する①個体がそれぞれにばらばらに目的地へ移動するパターンや, ②個体が連なり列を成して目的地へ移動するパターンや, ③小集団ごとに目的地へ移動するパターンなどである。シロアリは, 新しい移動先を見つけた時に, 集団で一斉にその場所へ移動するのだろうか?それともこれらのいずれかの移動様式をとるのだろうか?もっと特異な様式で移動するのだろうか?個体ごとの詳細な解析をすることで, 解明を試みた。Termite Journal 2023.1 No.179タイプA 1回目(b) 複雑度大(a) 複雑度小タイプA 2回目タイプA 1回目タイプB 1回目タイプC 1回目タイプD 1回目
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