しろありNo.179
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Termite Journal 2023.1 No.1793131けることは難しい。展示の多くは, トコジラミや, PCO向け殺虫剤, 噴霧機や, ビジネス管理用ソフトウェア, 鳥害対策などの日本で言うところのPCO向け製品群が多く出展されていた。米国におけるTCO剤は, フィプロニルやキチン合成阻害剤(CSI)ベイトなど特定のブランド製品が寡占状態ということや, 開発・登録に時間がかかることから, 新製品が少ないという点があるのかもしれないと, 勝手に想像している。 一方, 通信機能(IoT)を使用したネズミトラップや, センサー類などの展示も増加している。全ての建物が大きく歩き回るだけでも大変なアメリカであれば, 手元で管理できるセンサー類の有用性は理解できる。 各ブース趣向を凝らして, 景品やゲーム等で集客する様子は, 例年の楽しみの一つである。集客データから, 自社サイトへの誘導率や, 製品購入までのコンバート率を求めるなど, デジタルマーケティング視点を取り入れることなども行われているようである。 当社のグループ会社MGK(写真7)は, 食品セグメント(食品に関連する分野で使用する殺虫剤)と天然ピレトリン製品に力を入れており, Power of the FlowerとBotanical製品を意識したデザインでブースを展示し, 期間中無料でアイスクリームを配布していた。4. エデュケーションセッション 例年多数の講座が予定されるが, 今回エデュケー写真7 当社グループ会社のブース写真8 Lucas Carnohan博士ションセッションにタグ付けされた講座は, 68講座がプログラムされた。講座はPCOやTCOに関する害虫全般, 技術, パブリックヘルス, 安全性のほか, セールス&マーケティング, 顧客サービス, リーダーシップなどの事業経営などの広範囲に及ぶ内容となっている。1コマ当たり3講座程が並行して開催され, そこから選択してエントリーするため, 残念ながらすべての講座に参加することはできなかったが, 全体数からすると多くはないもののシロアリに関するセッションが3題あったのでその内容を簡単にご紹介する。・ The Technician‘s Playbook for Terminating Termites(シロアリ退治のための技術者用プレーブック)  Dr. Lucas Carnohan(Technical Manager, American Pest) 様々なシロアリの種類や, 兵蟻の外観によるその分類についての解説と, 近年新たに発見されたTonsuritermes属のご紹介。本種は職蟻が特徴的で, 頭にお皿のような構造を持ち, 恐竜のパキロケファロサウルスやカッパを彷彿とさせる形態を示すユニークな種である。 また, シロアリがゴキブリに近いという生態学的な位置づけを, 人間やゴリラなど身近な生物を元に分りやすく説明し, シロアリのライフサイクルやなぜシロアリ駆除が必要かなど基礎から解説した(写真8)。・ Termite Inspection Technology Old and New: Tools Every PMP Should Have on Their Radar(シロアリ探知技術の新旧。技術者が注目すべきツール) Dr. Brian Forschler(Professor, University of Georgia)

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