しろありNo.179
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用法や製品ラベルクレームなどに関する規制のしくみ, なぜシロアリ防除にはプロフェッショナルが必要であるかについて議論形式で紹介した(写真10)。 シロアリは, 消費者にとって重要な投資対象である住宅に侵入し, 構造的な破壊をもたらす害虫である。シロアリ防除の進化は, シロアリの生物学と行動, 建物の構造, 土壌処理剤, ベイト剤, 木材処理, 物理バリアなど障壁の使用に関する人々の理解, さらに異なる業界(害虫防除と建物建設)による規制が複雑に絡み合うものである。シロアリ防除はとても複雑な作業で, シロアリ防除業者(TCO)は多くの知識を理解し, それを応用, 適用する必要がある。例えば, 薬剤や施工に関する法律, 契約上の要件, 建築知識, 規制当局に認められた製品の使用方法などの知識や, 土壌処理, ベイト, 木部処理, 物理防除などの作業に関する高い技術, 知見が必要である。加えて, インスペクションとモニタリングという重要スキルにおいて, “何を探すべきかを知る”, シロアリの種類, 生態, 行動など, 多くの経験に基づく技術も必要であり, これらはプロのTCOにしかできないものである。 アメリカでは建築物の保護を表記する製品はEPAおよび州の製品性能基準を満たす必要があり, またTCOは製品ラベルに従う必要がある。建築基準法では, シロアリ防除の選択の代替案の余地がほとんどない。プロフェッショナルのTCOは害虫防除業界で最も厳しく規制されている分野の一つであるといっても過言ではない。 北米におけるシロアリ防除方法の変遷として, 150年前ある研究者(1876年Hagen)は都市化が進むにつれて, Termite Journal 2023.1 No.179 実際の演題は, 事前の題目“Termite Inspection and  アメリカにおける各種乾材シロアリの種類や, 乾材シロアリの生育を示す痕跡, またアメリカ南東部における土壌分布と記録されているシロアリ種の分布ツールが販売, 使用されており, シロアリのインスペクション時に利用されているが, それぞれに特徴があり, その使用方法を考える必要がある。とくに, Spray ンフォーム断熱剤)施工されている物件でのシロアリ調査には注意が必要である。SPFで被覆された部分は, 含水率や赤外線カメラタイプのシロアリ探査機器は, 正確に測定ができないことを示した。測定範囲の狭さという課題があるが, TERMATRAC T3iは検出可能であることを示した。シロアリ検知にはやはり目視観察がベストであるが, SPFで被覆される物件ではシロアリの蟻土や食害痕などによる検知ができず, 被害が拡大してしまう状況は日米共通の課題のようである。ジョージア州では, SPF施工を行う場合基礎壁の上部と下部にシロアリ検査のための隙間を設けることを義務づけている。・ There Is No "Alternative" to Professional Termite Control -Why DIY Remedies Can Spell Disaster シロアリ防除のプロに代わるものはない -なぜDIYは災いをもたらすのか?Florida/IFAS 本講演では, シロアリ防除方法の変遷と, 製品の使写真9 Brian Forschler教授様子写真10 Faith Oi博士会場を広く使い参加者とディスカッションしながら講演されるSPF Insu-lation”と若干異なる。(Reticulitermes属が多い)について解説した(写真9)。 続いて, アメリカでは様々な種類のシロアリ探査Polyurethane Foam Insulation(SPF: 吹付ポリウレタ- Dr. Faith Oi; Assist. Ext. Scientist, University of 3232

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