…………………………ヤマトシロアリ speratus ………ヤマトシロアリ九州亜種 s. kyushuensisが1.30より小さい ………………ヤマトシロアリ基亜種 s. speratus幅で割った値は1.30より大きい ………ヤマトシロアリ四国亜種 s. leptolabralisる。咽喉板は最も狭い部分で両縁が平行 …………………………キアシシロアリ flavicepsも狭い部分で両縁が凹む。 ………………………アマミシロアリ amamianus値は0.25より小さい。 ………………………ミヤタケシロアリ miyatakei値は0.30より大きい。 …………………………7が最も幅広い。 …ヤエヤマシロアリ yaeyamanus ……………………………………………………8 ……………………オキナワシロアリ okinawanus …………………カンモンシロアリ kanmonensis 検索表は, 個体の形態を観察しながら1から順番に特徴が合致するかどうかを確認し, 種を同定するために使用するものである。ここで注目したいのは1番目に記載される前胸背板の剛毛数である。前胸背板とは, 文字通り頭部と腹部の間にある胸部のうち, 一番前方にある背面の板である(図2A, B)。テキスト16頁1)に「兵蟻前胸背板の剛毛数が10本以下と少ないことから, 他の琉球産のヤマトシロアリ属と区別できる」と記載されているように, 前胸背板の剛毛数からヤマトシロアリ(R. speratus)とそれ以外の南方系のヤマトシロ1. 前胸背板の剛毛数が10本より少ない-. 前胸背板の剛毛数が15本より多い ……………42. 上唇表面の剛毛が長い-. 上唇表面の剛毛が短いかない …………………33. 上唇先端は丸く, 上唇の最大長を最大幅で割った値-. 上唇先端は多少四角く細長い。上唇の最大長を最大4. 上唇に亜先端剛毛がある ………………………5-. 上唇に亜先端剛毛がない ………………………65. 右大顎の内縁はほぼ直線で, 先端近くで内側へ曲が-. 右大顎の内縁は緩やかに内側へ曲がる。咽喉板は最6. 咽喉板は細長く, 咽喉板の最小幅を最大幅で割った-. 咽喉板は幅広で, 咽喉板の最小幅を最大幅で割った7. 頭部両縁は前方に向けわずかに狭まり, 後方1/3-. 頭部両縁はわずかに膨らみ, 中央部で最も幅広い8. 小型で, 大顎を除いた頭長は1.70mmより小さい-. 大型で, 大顎を除いた頭長は1.75mmより大きい3636Termite Journal 2023.1 No.179と前胸背板図2 シロアリ及び腐朽防除施工の基礎知識新版第2章図2. 6より引用(A:ヤマトシロアリ兵蟻頭部、B:前胸背板と剛毛、C:上唇(右側は先端剛毛2本と亜先端剛毛2本で4本)、D:咽喉板)写真4 ヤマトシロアリ(左)とカンモンシロアリ(右)の兵蟻アリ属の種を区別することができる。但し, ここでいう剛毛数に前胸背板周囲の剛毛は含まない。 例えば, ヤマトシロアリ属の一種であるカンモンシロアリは山口県と福岡県の両沿岸域である関門地域に局所的に分布している7)(写真4)。本種はヤマトシロアリと同所的に生息しているが, 群飛時期が異なることなどからヤマトシロアリと異なるものという認識は古くからあった。しかし、現在では別種であることが明らかとなり、南方からの侵入種と理解されている5-7)。筆者らは山口県内でカンモンシロアリの生態調査を行っていたため採取した個体をヤマトシロアリと区別する必要があったが, 前胸背板の剛毛数程度の形質であれば簡易の顕微鏡で十分に観察できるため
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